『A Short Hike』開発者、手がけていた『ペーパーマリオ』風RPGを開発中止に。でもせっかくなのでプロトタイプを無料配布
Adam Robinson-Yu氏は6月27日、RPG『Untitled Paper RPG』の体験版をPC(itch.io)向けに配信した。開発中止になったため。

インディー開発者のAdam Robinson-Yu氏は6月27日、RPG『Untitled Paper RPG』の体験版をPC(itch.io)向けに配信した。
同氏は、人気作『A Short Hike』を手がけたことで知られる人物。本作は、それ以前から開発中であることが伝えられていた作品であるが、現在は開発中止状態にあるという。近い将来に再開する考えもないため、プロトタイプを体験版として無料配布することにしたそうだ。

『Untitled Paper RPG』の舞台となるのは、動物を擬人化したキャラクターたちが暮らす世界だ。主人公のワニは、友人の誕生日のためにバースデーカードを作っており、村のみんなにも協力してもらうことにする。村を巡って住民を探し、話しかけてはカードにサインしてもらうのだ。ただ、そうして会話を交わす中で、村では不審な出来事が相次いでいることが判明。主人公は友人とパーティを組み、その事件の真相を追うことになる。
今回配信された体験版には、ゲーム序盤にあたる1〜2時間程度のボリュームのコンテンツが収録。自然あふれる山間の村を探索でき、パーティ結成後は敵とのターン制バトルも楽しめる。バトルでは、タイミングよくボタンを押すことで敵に追加ダメージを与えたり、敵の攻撃を防いだりといったシステムが存在する。


本作は、『ペーパーマリオ』シリーズから影響を受けて2016年に開発が開始されたが、先述したように現在は開発中止状態にある。開発者のAdam Robinson-Yu氏は、2018年に本作の開発を一旦休止し、その後鳥の少女が山登りをするアドベンチャーゲーム『A Short Hike』を制作してリリース。すると大きな人気を獲得し、同氏はそのアップデートや移植作業に追われることになった。
一方で同氏は、『Untitled Paper RPG』の開発を続けることの困難さを感じていたという。2本分のゲームを作るような規模を目指していたことや、ストーリー制作を後回しにしたことによる他要素との整合性の不安、また『Slay the Spire』や『Into the Breach』が存在する現在、本作のバトルシステムが通用するのかどうか確信が持てなくなったことなどが語られている。かわいい世界観でありながらストーリーで戦いを正当化することに矛盾を感じ、それが『A Short Hike』の開発につながったとも。そうして開発当時に感じていた楽しさはやがて失われ、開発中止状態になったそうだ。
同氏は、いつか本作の開発を再開させるかもしれないが、今のところそうした考えはないとのこと。他方で、本作について尋ねるファンが今もいることから、何もしないよりは良いだろうと、今回プロトタイプを体験版として公開したという。
*『Untitled Paper RPG』の開発当時、自ら作品を解説するAdam Robinson-Yu氏
『Untitled Paper RPG』の体験版は、PC(itch.io)向けに無料配信中だ。
なお現在Robinson-Yu氏は、また別の新作に取り組んでいるとのこと。アクションアドベンチャーゲームと、クレイアニメ風の小規模なRPG、そしてオンライン対応のローグライク・プラットフォームアクションゲームという3つのプロジェクトが進行中だそうで、詳細は明かされなかったが、アクションアドベンチャーゲームについては以下のスクリーンショットが初披露されている。
