Epic Games、「Unreal Engine利用料」をお安くする新制度発表。UE製ゲームをEpic Gamesストア向けにも出せば、Steam/コンソール版含めてまるっと利用料値引き
Epic Gamesは10月2日、ゲームエンジンUnreal Engineの最新情報を届けるイベント「Unreal Fest Seattle 2024」を開催。この中で、「Launch Everywhere with Epic」を発表した。特定の条件にて、Unreal Engineの利用にかかる料金が引き下げられる新たな仕組みで、2025年1月から導入される。
Unreal Engineではロイヤリティベースのライセンシングが採用されており、リリースした作品の総収益が100万米ドル(約1億4000万円)未満の場合は利用無料。100万米ドルを超えると、5%のロイヤリティをEpic Gamesに支払う仕組みとなっている(Epic Gamesストアでの販売収益についてはロイヤリティフリー)。
今回の発表にてEpic Gamesは、現在ゲームビジネスにおいては大きなプレッシャーがかかっているとしたうえで、開発者にとってより良い条件を提供し、またより多くのユーザーにリーチできるよう、ゲームエンジンとストアを改善しているとコメント。その取り組みの一環として「Launch Everywhere with Epic」が発表された。
「Launch Everywhere with Epic」は、Unreal Engineを用いて開発されたゲームにおける、Unreal Engineの利用料金として支払うロイヤリティ率が5%から3.5%に引き下げられるというもの。適用条件としては、Epic Gamesストアでリリースすることが挙げられている。Epic Gamesストアで販売中の作品であれば、SteamなどほかのPCプラットフォームや、コンソール版・モバイル版における他ストアでの販売収益についても、3.5%のロイヤリティが適用されるという。Epic Gamesストアでの販売を取り下げた場合には、他ストアでのロイヤリティは5%に戻される。
なおEpic Gamesストアでは、作品のリリース後最初の6か月間を同ストア独占販売とすることで、収益の100%を開発者が受け取れる「EPICファーストラン」プログラムが提供されている。「Launch Everywhere with Epic」は、同プログラムの参加者も適用対象とのこと。
Epic Gamesストアというと今年8月に、Android版が日本を含む全世界で、またiPhone版がEU地域向けに提供開始された(関連記事)。すなわち、今回発表された「Launch Everywhere with Epic」はモバイル専用ゲームも対象となる。イベント「Unreal Fest Seattle 2024」では、恐竜サバイバルゲーム『ARK: Ultimate Mobile Edition』がEpic Gamesストアでリリース予定であることが発表されている。
これまでEpic Gamesは、Epic Gamesストアを利用する開発者を優遇する施策を導入してきた。今回それに加えて、マルチプラットフォームで展開する作品に対しても、Unreal Engineの利用料金において優遇する新たな仕組みが発表された格好だ。開発者にメリットを提供しつつ、Epic Gamesストアの取り扱いタイトルをさらに拡充させたい狙いがあるのかもしれない。
「Launch Everywhere with Epic」は、2025年1月より導入される。詳細は前もって開発者向けに発表予定とのことだ。なおiOS向けゲームに関しては、一時的に適用対象外とすることが案内されている。これは、EU圏内におけるEpic Gamesストアなどサードパーティのモバイルアプリストアを利用する開発者に対し、Appleが一定条件にてコア技術料と呼ばれる料金の徴収をおこなっているためとのこと。Epic Gamesはこの施策に反発し撤回を求めている。