Epic Games Japanの河崎 高之氏は、同社のゲームエンジン「Unreal Engine 4」が、インタラクティブ性のない映像作品では基本的に無料で使用できることをあらためて伝えた。先日にはテレビドラマ「デスノート」で使用されたことでも話題となった「Unreal Engine 4」だが、実際に同作品でもロイヤリティやライセンス料などは発生していないという。また映像作品のフリー版「Unreal Engine 4」使用に関しては、Epicへの報告義務がないことも明らかにされている。
参考記事: 日曜ドラマ「デスノート」のリュークやレム、その正体はEpic Gamesの“Unreal Engine 4”
Unreal Engine 4は過去サブスクリプション形式で提供されていたが、今年3月のGDC 2015にてフリー化が発表された。”ゲームやアプリケーション”をエンドユーザーで販売し、かつ四半期の売上が3000ドルを超えた場合以外はロイヤリティが発生せず、自由に無料でUnreal Engine 4を使用できる形だ。「デスノート」は”ゲームやアプリケーション”ではないが、同作品にてUnreal Engine 4は実際に無料で使用できたのか、河崎氏にあらためて聞いてみた。
河崎氏は「ああいう映像モノの場合って、現在フリー版を自由に使っていただける形になっているんです。かつインタラクティブじゃない映像の場合は、うちに対するロイヤリティも発生しない」と返答。「変な言い方ですけど、うちが知らないところで勝手に使っていただいて構わないって状態なんですね。ダウンロードしてきて、どうぞご自由にご使用くださいっていう体裁なんです」と続けている。
実際に「デスノート」においても、株式会社デジタル・フロンティアのCGプロデューサー豊嶋勇作氏がTwitter上で伝えるまで、Epic Games側はリュークがUnreal Engine 4製であることを知らなかったという。河崎氏は豊嶋氏のことを知っており、ツイートを見てからメールを送り、Unrealの公式ブログに制作課程を載せる話へと進んだ流れだ。
もちろん、CGを制作するためには機材費や人件費などが必要となるわけで、「デスノート」の死神たちが完全に無料で制作されたわけではない。だが、ゲーム業界において主要なゲームエンジンの1つであるUnreal Engineが、日本のテレビドラマで無料で使用されているという構図はどこか面白い。
河崎氏は、フリー版の使用に関して報告の義務は一切なく問題はないとしたが、一方でやはりそういった事例はEpic Games側からも世に知らしめていきたいと伝えている。「だから制約を強めようっていう方にはまったくいかないんですけども、一抹の寂しさというか(笑)」。
デスノートの話やPS4版『ドラクエXI』など、ここ最近のUnreal Engine 4の動向を追った河崎氏とのインタビュー全文はこちらから。