『ストリートファイター』新作にUnreal Engine 4 格闘ゲームへと広がるUnrealの輪


カプコンおよびEpic Gamesは、格闘ゲームシリーズ最新作『ストリートファイターV』のゲームエンジンに「Unreal Engine 4」を採用していると発表した。『ストリートファイターV』は、今月ラスベガスにて開催されたソニーのファンコミュニティ向けイベントPlayStation Experienceにてお披露目されたばかりのタイトルだ。対応機種はPCとPlayStation 4で、シリーズ初のクロスプラットフォーム対戦が実装される。

 

 


『SF』最新作に外部ゲームエンジン

 

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カプコンには、長年開発してきた「MT Framework」や、新作アクション『deep down』の「Panta Rhei」なども存在するが、同社の命運を握る次世代機向け格闘ゲームのエンジンにはUnreal Engine 4を採用した。

カプコンUSAのプロデューサーであるボーチャン・キム氏は、「次世代ストリートファイターの目標は、多くのファンに愛されるこのシリーズの新作を、最高の形で皆様のもとへお届けすることです」とコメント。「そのためには、現在考えられる中で最新かつ最高の技術を採用する必要がありました。これが我々がEpic Gamesとのパートナーシップを結び、UE4を採用することに決めた理由です」と、Unreal Engine 4を技術面で評価している。

今年8月、カプコンとディンプスは次世代対戦格闘ゲームの開発スタッフを募集し、国内外のユーザーから注目を浴びた。同作に関する情報は伏せられ、Unreal Engine 4の名ももちろん登場していない。ただ募集情報には、「自社のフレームワーク以外にも、最先端ゲームエンジンでの開発も取り入れ、開発スキルを身に付けることのできる体制も強化しております」とも記されていた。これが今回の件の伏線であったのかもしれない。

 


格闘ゲームに広がるUnreal Engine

 

いまや格闘ゲームシーンはUnreal Engine一色だ。バンダイナムコゲームスの3D格闘ゲーム『鉄拳7』でもUnreal Engine 4が採用されており、現在すでにロケテストが国内で実施されている。また、コンボ格闘ゲームの大御所『ギルティギア』の最新作『Xrd -SIGN-』では、Unreal Engine 3が使用されている。海外に目を向けてみても、残虐格闘ゲームシリーズの最新作『Mortal Kombat X』は、前作から引き続きUnreal Engine 3を使用している。格闘ゲームシーンを今後牽引するような未来のビッグタイトルたちが、次々とUnreal Engineでの開発を進めている。Unreal Engineはシューターや3Dアクションゲームへの採用が多くみられていたが、今後は格闘ゲームで採用されているエンジンとしても名を馳せるのかもしれない。

Unreal Engineは、1996年に発売されたEpic GamesのFPS『Unreal』のために開発されたゲームエンジンだ。同時期に生まれた『Qauke』のQuake Engineと共に、ゲーム業界を引っ張ってきた存在である。Quake Engineは様々なデベロッパーたちがカスタムして使用しており、Activisionの有名FPSシリーズ『Call of Duty』のIW EngineもQuake Engineがベースだ。UnrealはEpic Games自身が開発した『Unreal Tournament』や『Gears of War』と共に成長し、国内外の多数の3Dアクションゲームに現在も採用されている。

Electronic ArtsのFrostbite 3を採用した『Battlefield』や、『Crysis』などを手がけるCrytekのCRYENGINEが、現在のUnreal Engineのライバルだ。『Call of Duty』が最新作『Advanced Warfare』で内製のカスタムエンジンに切り替えるなど、次世代機の登場に呼応するかのように、ゲームエンジンにも転換期がおとずれている。

 

[2014年12月23日 10:15 追記]

 

初版の本文中にて、「コンボ格闘ゲームの大御所『ギルティギア』の最新作『Xrd -SIGN-』でも、Unreal Engine 4が使用されている」との文章を掲載していましたが、正しくは「Unreal Engine 3が使用されている」の誤りでした。訂正しお詫び申し上げます。