Steamでヒットした2DRPG『Undertale』、任天堂プラットフォームへの移植を計画中?コミュニティの後押しを受けるか


昨年Steamでリリースされ、ユーザーから絶大な人気を得た2D RPG『Undertale』。主人公は、むかし人間と戦争を起こしたモンスターが封印されている山へとおもむき、その山に入り込むところからストーリーは始まる。『MOTHER』シリーズへの敬愛を隠さない本作は、『MOTHER』へのリスペクトを残しつつもまた異なる独自の魅力を持つタイトルとなっている。一部のコミュニティサイトでは『ゼルダの伝説』や『ポケットモンスター』を凌ぐ名作とも評価されており、発売から1年たたずとも熱心なコミュニティが形成されている。どこか任天堂との縁が感じられる『Undertale』の任天堂ハードへの移植を検討していることを、開発者のTobyfox氏がTwitterで明かしている。

ことのはじまりは2月2日のあるユーザーの投稿だ。AkinwaleLakeruを名乗るTwitterユーザーが「こんにちは、もしよかったら時間ある時に会ってもらえますか?また連絡してくださいね!」とTobyfox氏に親しげなリプライを送ったことがきっかけだ。実はこのAkinwaleLakeru氏は、任天堂オブアメリカのデベロッパーサポートを務めている。現在このリプライは削除されてしまったが、任天堂のスタッフとTobyfox氏の意味深な接触がたちまち話題となった。

2月4日、この話題に対してTobyfox氏は自ら説明をおこなった。

“任天堂の人が僕のところにリプライを送ったら話題になるのはシュールだね。数か月前にすでに任天堂の人とは移植の話はしているよ。”

https://twitter.com/FwugRadiation/status/695233688133623809

しかしTobyfox氏は移植に前向きであるものの、氏が使用する開発キットのGameMakerでは任天堂プラットフォームへの移植はサポートされておらず、移植するならば新たにプログラミングし直さなければならないことも示唆している。氏は移植によって生まれるバグなども憂慮しており、まだ現段階では“とりあえず取り組んでいる途中”程度で、約束や告知すべきものではないと慎重なコメントをしている。また、氏はプログラム言語を習得しておらず、自分では移植やプログラミングができないようで、今回の移植は協力してくれる人物の出現にかかっていると語る。そしてTobyfox氏はこの発言のあとに、また意味深投稿をしている。

“もしWiiUに移植するとして、みんなはMiiverseにUndertaleのコミュニティがほしいかい?そうなればコミュニティがまたたくさんのミーム(ネットスラング)で溢れてしまうね!これは簡単に決められない道徳的選択になるよ!”

Tobyfox氏は『Undertale』のひとつのテーマである道徳(moral)を絡めたジョークで任天堂プラットフォーム進出への意欲を表現している。この発言は、熱狂的なファンコミュニティを抱える『Undertale』がMiiverseに進出するとなると、ますます盛り上がってしまうということを意味しているとNINTENDO NEWSにも語っている。

すでにこれらのTobyfox氏の投稿に複数のユーザーは反応を見せており「私はWiiUデベロッパーに登録しており10年間ゲームを開発してきた技術者だ、Wii Uの移植をぜひ手伝わせてくれ」といった声や「私には3DSでUndertaleを表現するアイディアがいっぱいありますよ。戦闘画面は下のスクリーンでやりましょう。実装のためには困難がありそうですが」という声が届いており、Tobyfox氏も3DSのアイディアについては、うまく実現するには単純にはいかないとしながらも、3DSで二画面を使わないという罪深いことはできないと明かしている。

https://twitter.com/FwugRadiation/status/695243456957038592

undertale-may-come-nintendo-platform-in-the-future-001この移植への反響をみてもわかるように、『Undertale』の人気は2016年に入ってもおさまる気配を見せない。ゲームグッズを企画販売するFangamerは、すでに本作の新たなグッズを用意。Tシャツやぬいぐるみといったさまざまなファンアイテムが販売されている。また、熱心なファンは『Undertale』を半ば強引に3D化するプロジェクトを立ち上げ、現在も開発が進行中だ。このプロジェクトを立ち上げたEdikZykov氏は、『Undertale』を3Dにすることによってさまざまな体験がよりリアルに感じられると思い浮かび、すぐに作業に取り組み始めたようだ。

具体的な話になりつつあるもの、まだまだ越えなければならない山を残している『Undertale』の任天堂プラットフォーム移植。しかしTobyfox氏はすでに任天堂プラットフォームへの進出を見越しながら随所に期待や興奮を見せている。弊誌のインタビューでは日本語版のリリースに意欲を見せていたTobyfox氏。遠くない未来、日本でも任天堂プラットフォームで『Undertale』の切なくもあたたかい世界が描かれる日が来るかもしれない。