海外メディアの『Uncharted 4』レビューが取り下げ訴える署名運動へ発展、出演俳優の呼びかけに賛否両論

オンライン署名運動をサポートするChange.orgにて、『Uncharted 4: A Thief’s End』を酷評したWashington Postのレビュー記事を、レビュー集積サイトMetacriticから取り下げるよう求めるキャンペーンが実施されている。さらに、出演俳優のトロイ・ベイカー氏が自身のTwitterアカウントで署名への参加を呼びかけたことで一躍脚光を浴びた。表現の自由を顧みない行動に一部では批判が殺到。同氏は直後に釈明文を掲載している。これに先立って、Washington PostはAssociated Pressによる別のレビュー記事を掲載しており、こちらが本物で渦中のレビューは“創作”であるとの声もSNS上に散見される。いずれにせよ、一連の騒動で同作がさらに注目されたことは間違いない。

『Uncharted 4: A Thief’s End』(邦題:アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝)は、ソニー・インタラクティブエンタテインメントから、5月10日に発売されたPlayStation 4専用アクションアドベンチャーゲーム。開発元は『The Last of Us』でも大ヒットを記録したNaughty Dogで、スピンオフ作品を含めるとシリーズ5作目となる。その中でも本作は最終章に当たり、主人公「ネイサン・ドレイク」最後の冒険を過去最大のスケールで描いている。また、シリーズ初のPlayStation 4タイトルとして、キャラクターの毛穴や血管まで垣間見えるほど進化したグラフィック表現も、発売前から大いに注目されていた。

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満点続出の中に降臨した唯一の赤レビュー

事の発端となったのは、Washington Postが5月12日に掲載したレビュー記事。「1作目で終わりにすべきだった」というタイトルで、本作の存在意義に疑問を呈している。その大部分は、物語のあらすじに関する問答無用のネタバレに始まり、脚本と演出に対しての苦言に徹底しており、ゲームパートについてはほとんど言及されていない。そのゲーム性についても、長ったらしい敵との銃撃戦に崖登りと遺跡巡りを挟んで、ネイサンと愉快な仲間たちが馴れ合うくだらないムービーの連続に帰結するという表現で、バッサリ切り捨てた。Metacriticに投稿された際のメタスコアは40点。92件のメディアレビューの多くが満点の太鼓判を押す中、唯一の赤点だ。記事のコメント欄には268件(記事執筆現在)の意見が寄せられ、著者のジャーナリズムを糾弾する非難で埋め尽くされた。

さらに、時を同じくしてChange.orgには、「MetacriticからWashington Postのレビューを削除させよう」と訴える署名キャンペーンが出現。「個人的には最も好きなゲームの一つ」という私情も踏まえて、Washington Postのプロ意識を疑問視するとともに、渦中の記事を“12才児の日記”とこき下ろしている。また、40点というメタスコアを付けながら、レビュー内で内訳に一切触れていないことについても批判。点数を取り下げるか、もしくは記事内で補足すべきであると主張した。すると、『Uncharted 4: A Thief’s End』で主人公の兄「サミュエル・ドレイク」の声を担当しているアメリカの俳優、トロイ・ベイカー氏がキャンペーンに賛同。自身のTwitterアカウントでも署名運動への参加を呼びかけた。同キャンペーンには、記事執筆現在で6300人が賛同。達成目標は7500人で、残り1200人で署名がMetacriticとWashington Postの元へ実際に届けられる。

一方で、表現の自由を侵害する行為とも取れる著名人のリアクションにも批判が殺到。ベイカー氏のツイートには、レビューを書いた著者の権利を擁護する意見が多数寄せられた。これを受けて、同氏は直後に真意を釈明するコメントを掲載。「40歳にもなって自分がいかに稚拙で軽率かに驚かされることが多々ある」と、自身の反応が大人気なかったと省みている。また、Washington Postには件の記事に先立って、Associated Pressによる別のレビューも掲載されており、SNS上にはこちらが本物であり、非難の的になっている記事は手違いでMetacriticに登録された“創作”であると主張する声もある。

トロイ・ベイカーが声を担当する「サミュエル・ドレイク」(左)
トロイ・ベイカー演じる「サム・ドレイク」

特筆すべきは、先に投稿されたレビューは「Entertainment」のカテゴリに登録されており、渦中のレビューは「Comic Riffs」の分類であることが、その理由に挙げられている点だ。しかし、Metacriticに掲載されるWashington Postは、以前から後者のカテゴリを使用している。加えて、「Comic Riffs」は元々、アメリカのカートゥーン作家Michael Cavna氏によるコラム連載に付けられるカテゴリーである。ちなみに、同連載は今年4月、漫画のアカデミー賞と讃えられる「ウィル・アイズナー漫画業界賞」にノミネートされている。“創作”であるという疑惑は甚だ疑わしいのではないだろうか。いずれにせよ、同メディアに2つのレビューが掲載されたことが混乱を招いたようだ。

『Uncharted 4: A Thief’s End』が100点満点の乱舞する各メディア絶賛のタイトルであっただけに、Washington Postが投稿した忌憚のないレビューが尚更浮いてしまったことも、間違いなく批判の嵐を招いた要因だっただろう。しかし、同メディアは過去にも、『Battlefield Hardline』『The Order: 1886』『Dying Light』といったトリプルA級タイトルを同じく40点で酷評しており、ばっさり核心に迫るレビューが持ち味であるともいえる。確かに、ストーリー上の演出を読み違えているとの一部読者の指摘もうなずけるが、レビュー対象を間違えた事例でもない限り、単に著者の観点が反感を買ったという理由だけでレビューの取り下げやライターの解雇を叫ぶのは、言論封殺と揶揄されても仕方のない行為だろう。

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