ゲーム実況/配信をデザインに組み込んだ作品増加するか?「Twitch」が視聴者参加型など配信前提のビデオゲーム開発を今後支援へ

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ゲーム映像配信サービス「Twitch」は、ゲーム開発者カンファレンス「GDC 2016」の開催に合わせ、Twitchのライブ配信機能などを組み込んだゲームの開発を支援するイニシアティブ「Developer Success」を正式発表した。「Developer Success」のもとでは、ライブ配信機能を前提に開発されるタイトルは「Stream First」ゲームと呼ばれている。デベロッパーは特設ページを通じてTwitchにコンタクトを取ることが可能だ。

視聴者も巻き込んだゲーム

今回の「Developer Success」は、単純にTwitchの配信機能をビデオゲームに組み込もうというものではなく、”Twitchの配信機能を前提にしたゲームの開発を支援しよう”という動きだ。同イニシアティブのディレクターBrooke Van Dusen氏は、例として「Twitch Plays」を挙げており、ピンと来ない人はこちらを頭のなかで思い浮かべるとわかりやすいだろう。「Twitch Plays」は視聴者のコメント投票によってゲームの操作を決定するという「Twitch」を利用した遊び方の1つ。つまりプレイヤーだけでなく、ライブ配信をTwitchで見ている”視聴者”も参加できる形でプレイできるゲーム開発に力を入れようというわけである。

Twitchなどのライブ配信を利用あるいは組み込んだゲームは昨年から登場しつつある。今年1月に配信されたボクシング王者育成ゲーム『Punch Club』では、前述の「Twitch Plays」を利用し、ゲームをクリアできればそれだけ発売を早めるといったプロモーションを実施。発売10日間で100万ドルの売上を達成することに成功した。また2015年8月にリリースされたPionkl Gamesの『Party Hard』は、夜中まで騒がしく開かれているパーティーの参加者たちを殺害してゆくアンモラルなステルスアクションゲーム。Twitchと統合された同作では、視聴者たちのコメントによってパーティー会場にさまざまなイベントが起きるという仕掛けがある。また米国のOutpost Gamesは、「見て面白いゲームを開発しよう」というコンセプトを掲げて2014年3月に設立されたスタジオで、プレイヤーをパフォーマーに変えることを目指している。映像配信や視聴者を意識したゲームの開発はすでに始まりつつあるといえるだろう。

『Superfight』

「Twitch」は今回の発表と共に、さらに踏み込んだTwitchとの統合を果たした3つのStream Firstゲームを発表している。Pipeworks Studiosによって開発されるデジタル版『Superfight』は、プレイヤーがピックしたカードからファイターを想像し戦わせ、周囲にいる人が「どちらが強くて勝つか」を決めるという異色の対戦型カードゲーム。4人がTwitchで一画面にて配信できる機能や、勝利カードを視聴者が決定する投票機能などがゲーム内に組み込まれる。このほかにもSchell Gamesが手掛ける対戦型ターンベースストラテジー『Wastelanders』では、プレイヤーと視聴者チームが盤上で対戦できるモードを盛り込んでいる。Proletariatが開発する3人称視点のマルチプレイヤーアクションゲーム『Streamline』では、配信者と視聴者が簡単にチームを組んでゲームに参加することができるなど、さまざまな機能が盛り込まれているという。

すべてのゲームやデベロッパーが今回の「Developer Success」に導かれるべきだとは思わないが、どのようにして開発側が視聴者をゲームに巻き込むのか、どのようなデザインが生まれるのかは興味深い。

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