1980年代は当時WWFと提携していた新日本プロレスなどにも参戦、国内でも馴染みのあるプロレスラー「ハルク・ホーガン」が、プロレスゲーム『WWE』の最新作には登場しないことが明らかとなった。海外メディアPolygonやGameSpotがパブリッシャーの2K Sportsに問い合わせたところ、最新作『WWE 2K16』にはホーガンが登場しないことを認めている。ハルク・ホーガンは、先日流出したテープ内で差別用語を連呼していたことが明らかとなっており、先週末にはWWEから解雇されている。
ことの発端となったのは、ゴシップニュースサイトGawkerが掲載したテープ音声の書き起こしだ。8年前に不倫相手との情事のなかで話していたとされるこのテープでは、ホーガンが娘と当時付き合っていた黒人男性をNワードと共に罵っていたという。のちにホーガン自身がこの発言を認め、People誌にて深く謝罪しているが、WWE側はレジェンド解雇の決断に至った。
WWE側は「WWEはテリー・ボレア(ハルク・ホーガン)との契約を打ち切りました。WWEはさまざまな国の出身である従業員と競技者で成り立ち、ファンは世界規模であるとおり、国籍、文化、人種を問わず個人を尊重し、受け入れます」とコメントしている。ゲームだけでなく、WWEの公式サイトのスーパースター一覧からも、すでにハルク・ホーガンの情報は抹消されている。
過去には「ファン製ベノワ」でBAN例も
ハルク・ホーガンは前作『WWE 2K15』でもパッケージキャラクターとして選出されており、ホーガンのビニールフィギュアなどを同梱した「Hulkamania Edition」も発売されていた。『WWE』シリーズの過去作にはほぼ登場しているレスラーであり、1989年にNES向けに発売された『WWF WrestleMania』でもパッケージを飾っている。ホーガンは国内でも認知度があるが、海外ではまさに“レジェンド中のレジェンド”と呼べる存在でもあり、そんな伝説級のレスラーがゲーム中から姿を消すのは感慨深い。
過去に似た例で作品に登場しなくなったキャラクターに、2007年に死去したクリス・ベノワが存在する。クリス・ベノワは自身の妻や子どもを殺害し無理心中をはかったことが明らかとなっており、それ以降に登場するゲームでは一度も登場していない。それだけでなく、ユーザーがキャラクターを自作できるクリエイションモードにてベノワ風のキャラクターを作成しオンライン上で共有したところ、不適切であるとデータが削除されユーザーがBANされたことも明らかとなっている。
海外では「『WWE 2K2015』の有料DLCが削除された」との噂も一時流れたが、現時点ではまだ販売は継続されているようだ。ハルク・ホーガンはプロレス団体の入団と脱退を繰り返しており、その度に不死鳥のごとく舞い戻っている。しかし人種差別にひときわ厳しい視線が向けられる現在の米国において、今回の流出事件は彼の復帰を難しいものとしそうだ。今回ばかりはミスター・アメリカとして復活、というわけにもいかないだろう。