ベセスダ幹部、『The Elder Scrolls VI』の開発は「順調だしめっちゃ進化してる」と自信たっぷり。ただ“仕上がる”のはまだまだ先

Bethesda Game Studiosが開発中の人気オープンワールドRPG最新作『The Elder Scrolls VI』（以下、TES6）。本作の開発者が海外メディアの取材に対し、開発が順調であることを伝えるとともに、改めてじっくりと時間をかける開発方針が示されている。Game Informerなどが伝えている。

『The Elder Scrolls』は、Bethesda Game Studiosが手がけるオープンワールドRPGシリーズだ。広大なマップと高い自由度が同シリーズの持ち味となってきた。また、シリーズ5作品および外伝作品で蓄積されてきた重厚な世界観も魅力のひとつ。多数の民族が登場し、複雑な世界情勢や歴史が紡がれてきた。『The Elder Scrolls VI』は2018年にサプライズ的に発表され、同時期に発表された『Starfield』と並行して開発が続けられてきた。

今回、Game Informerの取材に対してBethesda Game Studiosの開発者がコメントしたのは、『TES6』の開発の進捗についてだ。本作のディレクターとエグゼクティブ・プロデューサーを務めるTodd Howard氏は「開発は順調に進んでいる（It’s progressing really well）」とコメントし、スタジオ内の大半のスタッフが『TES6』に取り組んでいると明かした。一方で、Bethesdaは常に複数のプロジェクトを並行して進めており、それぞれ長いプリプロダクション期間を経て、納得できる状態に仕上げるプロセスを大事にしている、とも語っている。Bethesdaは現在『Starfield』のDLCも開発中であり（関連記事）、『TES6』続報を求めるファンの声は認識しつつも、それぞれの作品のクオリティを高めるため、じっくりと時間をかけたいという姿勢があらためて示された恰好だ。

あわせて、スタジオディレクターのAngela Browder氏も『TES6』への手応えを言葉にしている。同氏は久しぶりに『The Elder Scrolls』の世界へ戻ることへの高揚感に触れつつ、前作『The Elder Scrolls V: Skyrim』の時代から、ゲーム業界の持つ機会やハードウェア、レンダリングなどが大きく進歩した点を強調。「『Skyrim』時代の自分には想像できなかったようなものを、いま目の当たりにしている」と思うことがあると、『TES6』の進化に自信を滲ませた。

さらに、スタジオデザインディレクターのEmil Pagliarulo氏は、待ち続けているシリーズのファンの苛立ちは理解できるとしながらも、それがもたらすプレッシャーを自らに課してはいないと説明。先日延期が発表された『グランド・セフト・オート Ⅵ』を例に挙げ、大規模タイトルは制作だけでなく、磨き込みや不具合の解消にも時間がかかるとの姿勢を示した。また、ファンが本当に求めている『TES6』を“じっくりとオーブンで焼き上げられた七面鳥”だと形容。クオリティがユーザーの期待に届かない状態で早期に出すより、最高のものになるまで時間をかけて開発を続けるべきだ、と完成度を優先する考えを語っている。

Bethesdaが『TES6』に言及したのは今回が初めてではない。たとえば『Starfield』発売直前の2023年8月には『TES6』が本格的な開発段階に移行したとされ、2024年3月にはすでに開発初期版がプレイアブルな状態であることが伝えられていた（Vandal）。一方、2023年にはBethesdaを傘下に置くマイクロソフトのゲーム部門CEO、Pete Hines氏が、『TES6』が早期の開発段階にあると説明しつつ、発売は「5年以上先」になるとの見通しを語っていた（関連記事）。『Starfield』の存在もあり、すぐに『TES6』の大きな続報が出るわけではない、という温度感は当時から示されていたといえる。

こうした状況もあり、『TES6』は公式情報の空白期間が長いタイトルとして、たびたび推測や考察の対象になってきた。直近でも、『Skyrim』のNintendo Switch 2版リリースを記念したトレイラー内に映った「レベル20、スピーチスキル27」という数値を、「『TES6』が2027年にリリースされるという示唆ではないか」と結びつけるファンの推測が拡散（GamesRadar+）。半ば無理やりな“こじつけ”といえる考察でも話題となるほど、続報が乏しいがゆえに些細な要素が注目されやすい状況がうかがえる。

ちなみに、現時点で『TES6』の発売時期や詳細は発表されていない。しかし今回、Todd Howard氏をはじめとする開発者から直接、進捗や進化への興奮が語られ、本作の開発が着実に進行していることが改めて伝えられたかたちだ。一方で開発がプリプロダクション段階であることも示され、完成にはまだまだ時間がかかることもうかがえる。『Skyrim』から発売から約14年、発表から数えても約7年とすでに長期間が経過し、期待とハードルが高止まりしているようにも思える『TES6』。これからもファンの忍耐が試される時期は続きそうだ。

『The Elder Scrolls VI』は現在開発中。対応プラットフォームは未定。