あるゲームの日本語タイトルが意図せず『クソダンジョン』になり、開発者もユーザーも困惑。超珍訳
Fix-a-Bugは7月28日、ローグライクダンジョンクロールゲーム『The Crazy Hyper-Dungeon Chronicles』を10月24日にリリースすることを発表した。そんな本作の日本語ストアページのタイトルが『クソダンジョン』になるという珍事が発生していた。

デベロッパーのFix-a-Bugは7月28日、ローグライクダンジョンクロールゲーム『The Crazy Hyper-Dungeon Chronicles』を10月24日にリリースすることを発表した。対応プラットフォームはPC(Steam)。
『The Crazy Hyper-Dungeon Chronicles』は、2Dで繰り広げられるダンジョン探索アドベンチャーゲームだ。プレイヤーは冒険家として、パルヴァムンドの国のハイパーダンジョンに眠る「ランド・ロアの日記」という書物の失われたページを回収することとなる。毎回ランダムに生成されるダンジョンを探索してキャラクターを育成したり、アイテムや装備品を回収してクラフトをしたりして、より難しい深層へと潜っていくことが目的だ。タイムゲージが溜まり切ると行動できる半リアルタイムのターン制バトルでは、主人公が装備する武器によって変化する特性を用いながら、複数の敵も的確に捌いていく必要がある。

本作のダンジョン内は、当然罠にも満ちている。床から突き出すスパイクトラップや壁から放たれる矢、火炎放射など油断をするとバトル以外でも死が待ち受けているのだ。また、ダンジョンは単に構造がランダムであるに留まらず、その景色も毎回かなり様変わりし、複数の異なるバイオームや明るさなどのバリエーションを持つ。ゲーム難易度は全部で3段階から選択でき、実は隠されたレベルも存在することが体験版で明らかになっている。さらに、カットシーン画像は特に精緻なピクセルアートで描かれており、BGMと相まって重厚な雰囲気を持っているが、ユーモアやウィットに富んだテキストも魅力となりそうだ。

そうして特に風変わりなところはなさそうな本作ながら、“日本語タイトルが奇抜”だとして、一部から注目が集まっていた。というのも本作の日本語Steamストアページでのタイトルは一時的に『クソダンジョン』となっていたのだ。『The Crazy Hyper-Dungeon Chronicles』から『クソダンジョン』にタイトル変更されたのは8月8日のこと。そして13日夜には、これに気付いたユーザーがXで話題にしたり、公式Discordサーバーを介して報告したりという事態に発展した。
突如『クソダンジョン』となった背景として、本作の日本語対応作業が関係しているかもしれない。本作の開発元は2024年9月に東京ゲームショウ2024の「Selected Indie 80」ショーケースに選ばれたことに対する感謝の意を込めて、配信中の体験版のゲーム内テキストを日本語対応させた。機械的に翻訳した部分が多いためか、プレイしてみると少しぎこちなさも残っているが、製品版のリリース前に校正や修正を進めることも告知されていた。『クソダンジョン』へのタイトル変更は、この修正作業の中で起こった事故という可能性もありそうだ。

なおX上でのユーザー報告に対しては、本作のプログラミングを担当するGiorgio Macratore氏が返答しており、意図したタイトルではなかったと説明。報告したユーザーに向けて、「修正中ですが…正直まだ笑っています。遊んでみてください。本当にそんな「クソ」じゃないことを願っています」と伝えている。
また公式Discordサーバー上での報告に対しても、デベロッパーアカウントがXと同様の内容を返信するとともに、「この件について、ちょうど今知ったところです。明日には、新しい機能を追加したデモを公開するとともに、このタイトルを確実に修正します」と“爆笑”の絵文字混じりにアナウンスした。本稿執筆時点では無事に日本語ストアページでのタイトルが『The Crazy Hyper-Dungeon Chronicles』に戻っていることが確認できる。

Steam上では、機械翻訳による日本語ローカライズをしたものが多数見受けられる。小規模開発・低予算の場合は、特にストアページの内容やデモ版についてまずは機械翻訳が利用される場合はあるのだろう。とはいえ日本語話者から見ると、違和感の残る仕上がりになってしまっているケースもよくある。
たとえば、Steam上にはあまりにもタイトルの直訳がすぎるものとして『前に回転する』『岩を砕く』『右クリックして翻訳機を起動する』などがあるが、これらはまだゲーム内容がわかりやすいとも言える。一方で直訳かつ内容もわからなくなってしまったタイトルを持つものとしては『煌き』『水の暇』、直訳がかえってインパクトを与えることにもなったタイトルとして『俺は魚だよ』なども挙げられる。機械翻訳でゲーム内容や作風がまったくわからなくなる事例もあるわけだ。今回の『クソダンジョン』も、『The Crazy Hyper-Dungeon』の機械翻訳がそのまま利用されていたのかもしれない。ともあれ、日本語ユーザーからの報告を受けて、開発者に笑いをもたらしつつ現時点では修正がおこなわれたようだ。

本作のデベロッパーであるFix-a-Bugは、イタリア・ピエモンテ州トリノに拠点を置くアプリケーション開発会社内で主にゲーム開発を担当しているというチームだ。Steamストアにてゲームを配信するのは、本作が初めてとなる模様。2024年11月ミラノで開催されたイベントMilan Games Weekにおいては、デモ版が同イベントでもっとも権威ある賞であるRed Bull Indie Forge 2024審査員賞を受賞していた。誤って名付けられた“クソ”とは縁遠い期待作といえるだろう。
『The Crazy Hyper-Dungeon Chronicles』は、PC(Steam)向けに10月24日リリース予定。