シリーズ屈指のヒット作をリマスターで復刻する『The Elder Scrolls V: Skyrim Special Edition』の発表に歓呼の声が高まる中、コミュニティが特に関心を寄せているのは既存のModが使用できるかどうか。SNSに寄せられたファンの質問に対して、Bethesda Softworks(以下、Bethesda)の広報担当者が互換性ありと回答した。また、別の担当者は、リマスターのPC版が64ビット環境で動作することを明らかにしている。今回の発表に際してフォーラムサイトでは、長年にわたり大型Modを制作しているコミュニティの代表者が、ファンから寄せられた疑問に回答。今後の課題について語っている。
大型Mod「Skywind」の行方
『The Elder Scrolls V: Skyrim Special Edition』は、先日の「E3 2016」で発表されたPlayStation 4/Xbox One/PC向けのリマスター版。10月28日の発売予定で、全てのダウンロードコンテンツが収録されている。加えて、コンソール版もPC同様にModへ対応。また、PC版に限り、すでにSteamで全コンテンツを所持しているユーザーは、同日から無料でリマスター版へアップグレードできる。既存Modの導入に関して、BethesdaでPRとマーケティングを統括するPete Hines氏は、「基本的には可能」とTwitter上で回答している。NexusやSteam Workshopで独自の環境を構築しているユーザーはもちろん、「Skywind」のような大型Modの制作を長年にわたり続けているコミュニティには間違いなく朗報だろう。
プロジェクト「Skywind」は、『The Elder Scrolls V: Skyrim』のゲームエンジンを使って過去作『The Elder Scrolls III: Morrowind』の世界を再構築する大型Modだ。その始まりは2012年。前作『The Elder Scrolls IV: Oblivion』で同様のMod制作を試みた「Morroblivion」計画が終了した際、残ったチームメンバーによって立ち上げられた。100人近くの制作者がプロジェクトに参加しているが、現在のところ完成の目処は立っていない。そんな中、公式からリマスター版が発表されたことで、同コミュニティのRedditには「Skywind」への影響を懸念する声が寄せられている。
プロジェクトの代表者Micah Ghost氏は、リマスター版が64ビットのゲームエンジンに対応している可能性が高いとして、唯一の課題はSKSE(Skyrim Script Extenderの略、Mod制作者がゲームエンジンへ自由にアクセスできるようスクリプトを拡張するためのツール)のアップグレードであると説明。事実、Bethesdaのグローバルコミュニティ担当Matt Grandstaff氏は、PC版は64ビットで動作すると自身のTwitterで明言している。ゲーム本編に大幅な改変を加えるModの多くにはSKSEが利用されており、「Skywind」も例に漏れない。既存のModがそのまま流用できるとしても、それらを支えるツールが64ビットに対応しなければ、そもそもModは機能しないというわけだ。
一方で、SKSEが64ビットにアップグレードされるまではそう長くはかからないとの見方が強い。昨年リリースされたばかりの『Fallout 4』は64ビットで動作しており、SKSEの開発者が手がける類似ツールFOSE(Fallout Script Extender)は、すでに64ビットに対応しているからだ。特筆すべきは、BethesdaがSKSEのようなツールを、近い将来コンソールでサポートする予定があるかどうかである。スクリプト拡張ツールはゲームエンジンに直接変更を加えるため、現状ではコンソールへの適用が難しい。SKSEなしで「Skywind」は動かない。『The Elder Scrolls V: Skyrim Special Edition』が発売されるまでに「Skywind」が完成するかは定かではないが、少なくともSKSEを活用するその他のModをコンソール版で導入するには、Bethesda側から何かしらのアプローチが必要なのは確かなようだ。