目が見えない盲目のゲーマー、約5年の時を経て『ゼルダの伝説 時のオカリナ』を”音”で全クリアする。ナビィの導きや剣の当たった音など頼りに

海外に住む1人のゲーマーが、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』をクリアしたことが話題となっている。このゲーマーの名はTerry Garett氏、5年ほど前から複数のアクションゲームのプレイ動画をYouTubeに投稿してきた"全盲"の人物だ。

海外に住む1人のゲーマーが、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』をクリアしたことが海外で話題となっている。このゲーマーの名はTerry Garett氏、5年ほど前から複数のアクションゲームのプレイ動画をYouTubeに投稿してきた”全盲”の人物だ。Garett氏は3年前に補助付きで『ゼルダの伝説 時のオカリナ』を一度クリアしているが、このチャレンジでは完全に手助け無しで自分の耳だけを頼りにプレイしてみせている。

Garett氏はコロラド大学にてNASAで働くことを夢見てエンジニアリングを学んできた人物である。5年ほど前に2Dアクションゲーム『Oddworld: Abe’s Oddysee』のプレイ動画をYouTubeに投稿した彼は、次にお気に入りの3Dアクションゲーム『ゼルダの伝説 時のオカリナ』に挑戦しようと決意した。2011年5月8日に第1回を投稿して以降、彼は実に5年もの歳月をかけて同作に挑戦し続け、一度は挫折しながらもついに今年1月2日に投稿された動画をもってしてゲームを全クリアしている。

前述のように、Garett氏は3年前に『ゼルダの伝説 時のオカリナ』を一度クリアしている。当時は攻略手順をテキスト読み上げ機能を使って聞き、YouTubeのプレイ映像を聞いてゲーム内の”音”を覚え、さらに難所である「水の神殿」や「闇の神殿」に挑戦する時には手助けもあったという。一通りの攻略手順はすでに頭の中に入っていたというわけだ。

だが過去に一度クリアしたとはいえ、視界を頼りにせず3Dアクションゲームをクリアするというのは途方も無い挑戦だろう。足場から落下すれば即死してしまうジャンプアクション要素、強大なボスとの戦闘要素、特定の場所に弓矢を撃たなければならないパズル要素などは、たとえ攻略手順を知っていても難しく思える。しかも今回彼が目指したのは、多数の水中エリアが登場する「水の神殿」を含むすべてのパートを補助無しで完全に音だけでクリアするというものだ。

まず彼は2つのスピーカーを座っているチェアの左右に備え付けており、そこから聞こえてくる音を頼りにエリアを攻略していった。ナビィの声や敵の発する音、さらには剣が壁に当たった音などを頼りに、自分の位置を割り出しているのだという。また攻略にはニンテンドー64のエミュレーターを使用しており、クイックセーブとロードを多用している。この機能は本来の『ゼルダの伝説 時のオカリナ』には存在しないが、動画を見ればわかるように、膨大な回数のトライ&エラーを繰り返すには必須だと言えるだろう。

1998年に発売されて以降、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』にはノーダメージなど様々な縛りプレイが存在するが、彼の偉業はその中でもひときわ輝くものであるだろう。Garett氏は応援してくれたファンたちに感謝しつつ、次回なんらかの作品に挑戦するメッセージを伝えている。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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