イギリス生まれのパズルゲーム ロンドン市内の”気温”によって販売価格が変わる

See also: ファンアートでゲームを購入。 ユニークな支払方法「Art to Play」Free-to-Playや早期アクセス、あるいはクラウドファンディングなど、近年ビデオゲーム業界では様々なビジネスモデルが登場している。ファンアートを描くことでゲームを購入できる「Art to Play」を先月紹介したばかりだが、新たに風変わりな販売モデルをイギリスのインディデベロッパーがスタートさせた。『A Good Snowman Is Hard To Build』は、当日のロンドン市内の気温によって、ゲームの価格が変動するのだという。

 


外が寒ければ安くなる

 

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『A Good Snowman Is Hard To Build』は、奇妙なクリーチャーが雪だるまを作り続けるパズルゲームだ。各ステージ上にある雪玉を転がし、大中小の順番で積めばクリアとなる。雪玉は引っ張れず押すことしかできないため、『倉庫番』のように、どの雪玉から、どういう経路で転がすかを考えなければならない。積もった雪の上で雪玉を転がすとサイズが大きくなるルールがあり、プレイヤーの頭脳をさらに悩ませる。

『A Good Snowman Is Hard To Build』が開発されたのは、クリスマス直前だ。カフェでお茶をしていたインディーデベロッパーAlan Hazelden氏ら2人が、クリスマスを祝うために作り上げた。本作は長期プロジェクトに関わっていた2人が息抜きに近い形で作った短いゲームだったが、ゲームビジネスメディアDevelopのIndie Showcaseの1作品としてセレクションされるなど、ひそかに注目を集め、2015年2月には製品化され発売されることとなった。

開発者らによれば、『A Good Snowman Is Hard To Build』はSteamや公式サイトにて12ドルで販売される。だが、グリニッジ標準時の午後5時から午後6時のあいだ、毎日"ティータイム"にロンドン市内の気温を計測し、次の24時間はその気温と同じ値段で販売する。8度であれば8ドルで、9度であれば9ドルとなる。寒ければ寒いほど、ゲームの値段は下がるわけだ。

AUTOMATONが開発者のAlan Hazelden氏に今回のプロモーションについて聞いてみたところ、いつアイディアを思いついたのか正確には覚えていないが、恐らくジョークで話していたことが今回のユニークなプロモーションにつながったのだという。「おい、そりゃ面白いな。やってみようぜ」と、気軽な気持ちでスタートさせたそうだ。

このプロモーションはローンチ期間限定となっており、ゲームが発売される2月25日から3月10日まで続く見込みだ。日本気象協会が運営するtenki.jpによれば、今週のロンドンは9度から14度まで気温が変動する見込みで、定価の12度以下となる日は少ないようだ。はたして、雪玉を作りたいクリーチャーと、安くゲームを買いたいプレイヤーたちを喜ばせるような寒さはやってくるのだろうか。

 

 

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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