家庭用『鉄拳 7』のクロスプラットフォーム対戦、技術的には検証済み。発売と同時の実装は見送る可能性大

PC(Steam)/PlayStation 4/Xbox One向け『鉄拳 7』におけるクロスプラットフォーム対戦対応は、技術的には検証が済んでいるようだ。ただし、発売と同時にはあえて実装しない可能性が大きいとした。

バンダイナムコエンターテインメントの鉄拳プロジェクト チーフ・プロデューサー原田勝弘氏は9月23日、PC(Steam)/PlayStation 4/Xbox One向け『鉄拳 7』におけるクロスプラットフォーム対戦対応について問われ、技術的には検証が済んでいることを明かした。その上で、ハードのポリシーと、セキュリティの問題、そしてPC版でのチートツール使用に対するコミュニティの不信感を挙げ、発売と同時にはあえて実装しない可能性が大きいとした。

PlayStation 4とXbox OneはそれぞれPCとのクロスプラットフォームを既に実現しているが、問題となっているのはコンソール同士だ。Eurogamerとのインタビューで、ソニー・インタラクティブエンタテインメント ワールドワイド・スタジオ プレジデント吉田修平氏は、クローズドなネットワーク同士を接続することには複雑な要素をはらむが、技術的には比較的容易だろう、と語っている。クロスプラットフォーム対応について、『Rocket League』の開発元Psyonixは、いつでも実装できる状態にあるとし、また『Gwent: The Witcher Card Game』を開発中のCD Projektも対応する準備は整っているとしており、共にソニーの承認待ちの状態だ。今回の『鉄拳 7』の情報と合わせてみると、実際メーカーにとって技術面は大きな問題にはならないようだ。

ハードのポリシー、つまりプラットフォームホルダーの方針、これはセキュリティの問題とも密接する話だが、Xbox Oneのマイクロソフトは今年3月に従来のポリシーを変更し、PCのみならず他のコンソールにも門戸を開いた。これをきっかけにクロスネットワークプレイの議論が熱を帯びるわけだが、一方PlayStation 4のソニーは、PC以外との接続にはこれまで明確な立場を公に示していない。上記のインタビューで吉田修平氏は、ポリシーの問題とビジネスの問題について考える必要がある、と答えるにとどめた。今年8月に鉄拳プロジェクト ゲームデザイナーMichael Murray氏は、クロスプラットフォーム対応について問われ、「Please ask Sony(ソニーに聞いてください)」とツイートしており、前述のPsyonixやCD Projektと同じく、やはりソニー側のポリシーがネックになっているようだ。

現在もマイクロソフトとの交渉が続く『ファイナルファンタジーXIV』
現在もマイクロソフトとの交渉が続く『ファイナルファンタジーXIV』

とはいえ、マイクロソフトにしても完全にオープンになったわけではない。スクウェア・エニックスの『ファイナルファンタジーXIV』をめぐっては、Xbox One版も計画されていたものの、クロスプラットフォーム対応が認められず頓挫していた。そして、それはマイクロソフトのポリシー変更後も大きな進展を見せていないようだ。同タイトルのディレクター兼プロデューサー吉田直樹氏は、Gamescom 2016でのDualShockersとのインタビューで、マイクロソフトから提示されたクロスプラットフォームのレギュレーション(規約)はMMO RPGには向いておらず、それを解除してもらわないと発売は難しい、と語っている。ただ、協議は継続していて、先日の東京ゲームショウに合わせて来日したマイクロソフトの担当者と、踏み込んだ議論がおこなわれたようだ。その結果はまだ明らかになっていない。

PC版でのチートツール使用については、E3 2016でのGameSpotとのインタビューでも原田氏は言及しており、実際機能するかどうかに関わらず、ユーザーに不公平感を感じさせる可能性があるため、ユーザーの意見をもう少し聞きたい、と語っていた。今回も「コミュニティの不信感」という似た表現をしており、『鉄拳 7』で不正行為がおこなわれる可能性それ自体よりも、チートツールが存在しうるPCとクロスプラットフォーム対応することに対して、ユーザーがどう感じるかを気にかけているようで、開発側としてはチート対策に一定の自信があると受け取れる。

同じ対戦格闘ゲームとして既にPC版とPlayStation 4版のクロスプラットフォーム対戦に対応している『ストリートファイター V』でも、やはりチート行為と無縁というわけにはいかず、不正を検知すると警告やID削除などの対応がとられる。新たな手口に対しては多かれ少なかれ後手に回るため、原田氏が懸念するのも無理はない。いずれにせよPC版を提供する以上は、クロスプラットフォーム対応しようがしまいが、継続的なチート対策はユーザーの信頼を得るうえで必須だ。

家庭用『鉄拳 7』のストーリーモードでは、三島家の因縁の秘密に迫る
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『鉄拳 7』は2015年2月にアーケードで稼働し、店舗間オンライン対戦に対応し大きな話題となった。今年7月には『鉄拳 7 Fated Retribution』にバージョンアップされている。PC(Steam)/PlayStation 4/Xbox One版は2017年春に発売予定。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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