霧に覆われた町、影に包まれた人。行商人が「生きている町」を行くアドベンチャーゲーム『A Place for the Unwilling』

スペインのインディーデベロッパー「Alpixel Games」はオープンワールドを舞台にしたアドベンチャーゲーム『A Place for the Unwilling』を開発中だ。本作は「生きている町」を舞台に行商人が体験するさまざまな物語を描くタイトル。先月には「The King is Coming」と名付けられたティーザー映像が公開されている。

スペインのインディーデベロッパー「Alpixel Games」はオープンワールドを舞台にしたアドベンチャーゲーム『A Place for the Unwilling』を開発中だ。本作は「生きている町」を舞台に行商人が体験するさまざまな物語を描くタイトル。先月には「The King is Coming」と名付けられたティーザー映像が公開されている。

『A Place for the Unwilling』の主人公は戦争の英雄や特殊能力の所持者ではなく、町にたどり着いたとある行商人だ。同作の世界は常に時が流れており、プレイヤーは生きるために品物を売ってお金を稼いだり、ほかのキャラクターと交流したり、新聞を読んだりしながら1日を過ごす。生活を続けながらさまざまな物語とキャラクターに絡み、この「生きている町」の謎を紐解いていくのだ。

本作の根幹はパズル要素のそれほど強くない単なる見下ろし視点2Dアドベンチャーゲームだが、1つの大きな特徴がある。それは「行商人が絡まない町のエリアや人物」はプレイヤーに情報が伏せられているという点だ。『A Place for the Unwilling』の世界では、町の大部分は霧に覆われ、人々は影に包まれている。行商人が物語上の展開で新たなエリアに向かったり、あるいは人と絡むことで、初めてその霧や影は晴れる。特定の物語を追わなかった場合、そこで出会うはずだった町のエリアや人たちとは永遠に会わないこともあるという。プレイするプレイヤーによって、町の形も出会う人々も大きく変わることになる。そういった面でも町は「生きている」というわけだ。

こういったダイナミックな変化と、ストーリーにおけるプレイヤーの選択肢により、独自の物語がつむがれるというのが本作の肝の部分。過去にインタビューでAlpixel Gamesは、本作のこのゲームデザインを「ナラティブ・サンドボックス」とも表現している。

ただ単にゲームシステム的な意味だけではなく、「町」は意思を持っているようだ。公式サイトで「町」は病気を患っていると伝えている。
ただ単にゲームシステム的な意味だけではなく、「町」は意思を持っているようだ。公式サイトで「町」は病気を患っていると伝えている。

本作は今年2月にKickstarterでクラウドファンディングを実施しており、918人から2万2329ユーロを集めることに成功している。開発のAlpixel Gamesは、『A Place for the Unwilling』を「『Sunless Sea』と『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』が出会ったような作品」だとも伝えており、完成した作品がどのようなタイトルとなるのかは気になるところだ。発売時期は未定とされており、今後「町」の霧がいつはれるのか気長に待ちたい。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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