『Sunset Overdrive』の開発元Insomniac Gamesは9月27日、同タイトルをPC向けに発売する可能性について問われ、「我々としては発売したい気持ちはあるが、それはXbox次第だ」と回答した。
@MegapiemanPHD we’d love it if it could happen but ball is in Xbox’s court on it
— Insomniac Games (@insomniacgames) 2016年9月26日
この「Xbox」はもちろんマイクロソフトのことを指しているのだろうが、同社のXbox Oneの戦略に関わる案件であることを示唆したのかもしれない。いずれにせよ、マイクロソフトが同タイトルを販売する上での何らかの権利を持っていることがうかがえる。
『Sunset Overdrive』は2014年にXbox One向けに発売されたオープンワールド・アクションシューター。汚染されたエナジードリンクを飲んでミュータント化した人々であふれるサンセットシティを舞台に暴れまくるハイテンションなゲームだ。
Insomniac Gamesは2014年5月のIGNとのインタビューで、『Sunset Overdrive』がXbox Oneで発売されることになった経緯を明かしている。同社CEOのTed Price氏はIPの権利を自ら保有することにこだわったそうで、協議を重ねた結果、マイクロソフトはその条件を飲んだそうだ。販売元が開発資金を提供する代わりにIPの権利を要求することは珍しくないので、両社が関係を深める大きなきっかけになっただろう。しかし、IPを保有しながら自らの意思でPC版の発売を決められないということは、マイクロソフトが同タイトルの契約を結ぶうえで何らかの制約をInsomniac Gamesに設けたと推測できる。
Remedy Entertainment(以下、Remedy)の『Alan Wake』シリーズは、『Sunset Overdrive』と同じく開発元がIPを保有するXbox独占タイトルで、マイクロソフトは販売権のみを持っていた。そしてのちにRemedy自らが販売元になってPC版を発売している。RemedyのOskari Hakkinen氏は2012年2月のEurogamerとのインタビューで、PC版を発売したいという想いはマイクロソフトに伝え続けていて、時間的要因とマイクロソフトとの良好な関係によって最終的に実現したと語る。PlayStation版の発売は今後もないと明言しているので、この時間的要因というのは、いわゆる時限独占契約が結ばれていたという意味ではないようだが、同じような効果をマイクロソフトはXbox 360版に期待していたのかもしれない。『Alan Wake』のPC版が発売されたのはXbox 360版からおよそ2年後。そして『Sunset Overdrive』も来月にはXbox Oneでの発売から2年を迎える。
マイクロソフトは『Quantum Break』や『Ori and the Blind Forest』などのXbox独占タイトルを、のちにPC向けにも発売している。また、ファーストパーティタイトルに関してはXbox Play Anywhere、いわゆるクロスバイ対応でXbox One版とWindows 10版を同時発売することも始めており、PCでの展開に後ろむきというわけではない。Insomniac Gamesやファンの要望次第で、PC版発売が期待できそうな頃合いに思えるががはたして。
余談だが、もし仮に『Sunset Overdrive』のPC版が実現したとしても、Xbox Play Anywhere対応は難しいかもしれない。マイクロソフトは今年6月、Windows 10 Anniversary Update配信開始日の発表の中で、「今後マイクロソフトが販売するすべてのタイトル」がXbox Play Anywhereに対応するとしていたが、のちに「E3 2016のステージで披露された、今後マイクロソフトが販売するすべてのタイトル」に修正している。これは『Dead Rising 4』を念頭に置いたものと考えられ、事実同タイトルはマイクロソフトが販売するもののXbox Play Anywhereに対応しない。Game Informerによると、開発元のCapcom VancouverはXbox Play Anywhere対応に前向きだったが、すでにゲームの開発が一定以上進んでいて対応させることが困難だったからだそうだ。であるなら、開発が終わり現在発売中の『Sunset Overdrive』では、なおさら期待できそうにない。