Valveは、ゲーム配信プラットフォームSteamのアクティブアカウント数が、1億2500万を突破したと発表した。Steamにて配信されているゲームの数は4500本に到達し、Steamコミュニティのユーザーが製作したコンテンツ(UGC)の数は4億個に到達したという。PCゲーム向けのプラットフォームには、Steamだけでなく、OriginやUplayなども存在する。後を追うライバルの1人Electronic ArtsのOriginは、2013年7月にユーザー数5000万人の突破が発表されている状況だが、Steamの独走は現在も続いているようだ。
ValveがPCゲーム市場の次に狙っているのが”リビング”だ。現地時間3月2日より実施されるゲーム開発者カンファレンスGDC 2015(Game Developer Conference)にて、Valveは数年前より開発を続けているリビング向けゲームハード「Steam Machines」を再び披露し、未発表の「SteamVRハードウェアシステム」を正式発表するという。
Valveが2015年に”リビング取り”へ
3月2日のGDCでは、トラックパッド搭載が特徴のコントローラー「Steam Controller」と、リビング向けのゲームハードシリーズ「Steam Machines」がデモンストレーションされる予定だ。これにくわえ、”新たなリビングルームデバイス”と、”未発表のSteamVRハードウェアシステム”が発表される。今年1月、海外メディアに対しValveの代表者は、GDCでSteam Machinesを中心に「大規模なプレゼンテーション」を実施すると予告しており、今回の発表を契機にリビング市場へ本格的に参入する可能性が高い。
Steam Machinesは、ValveのLinuxベースOS「SteamOS」を搭載したハードウェアシリーズの総称だ。Valveが直接開発しているわけではなく、複数のパートナー企業と協力して手がけており、様々な形状と仕様のマシンが販売される予定である。Steamをコントローラーで操作するのに適したインターフェイスや、WindowsやMacのみ対応のゲームを別のPCからストリーミング表示する「ホームストリーミング機能」が特徴。またこれに対応するSteam Controllerは、トラックパッドが搭載されており、FPSやストラテジーゲームといったマウス&キーボード操作タイトルの操作が容易になるという。
当初は2014年に発売予定だったSteam Machinesだが、Steam Controllerのデザインが最終決定しないことから、2015年発売に延期されていた。このSteam MachinesとSteam Controller、さらに新たなリビングルームデバイスで、Valveはリビング向けビデオゲーム市場へ参入することになる。
また、すでにValveはSteamにおけるOculus Riftのサポートを発表しているが、今回登場したSteamVRのハードウェアシステムがどのような立ち位置を示すのか、注目が集まる。Oculus Riftに始まり、ソニーのProject Morpheus、あるいはARではあるがMicrosoftのホログラフィックデバイス「HoloLens」など、すでに同市場へは多数のライバルたちが参入しようとしている。
See also: 北米市場で高まるゲームコンソール需要 前世代と比較してユーザー数は約1.6倍Steam Machinesは、SteamOSやSteam Controllerとともに、2014年に正式発表を迎えた。「これまでに無かった強力なリビングルームハードウェア」と銘打たれているように、リビングルーム向けビデオゲーム市場を制覇するためにValveが投入する製品であり、背景にはSteamOSのベースとしているLinuxを普及させる狙いもある。かつてリビングの復活を謳ったOUYAは成功したとはいいがたい状況だが、ソニーやMicrosoft、あるいは任天堂にとって、Steam Machinesは無視できない存在となるはずだ。とはいえ、すでに発売が開始されているPlayStation 4やXbox Oneは、北米市場にて好調なセールスを記録しており、PCゲーム市場の王者Valveでもやすやすと成功を収めることは難しいだろう。既存のゲーミングPCとの差別化や、Steam Machinesのイメージを統一するようなフラグシップ機の存在などが求められる。