Steamに対応する携帯ゲーム機「SMACH Z」を開発するSMACH Teamは、gamescomにてプロトタイプを展示した。SMATCH Zは、Steam OSを搭載した携帯型ハード。当初は「Steam Boy」とも呼ばれていたプロジェクトで、発表時からPCゲームを携帯機で遊べるという魅力から注目を集めていた。
概要が発表された2014年からさまざまな試みが続けられており、昨年には詳細なスペックも決定され発売に向けてKickstarterも開始されていたが、ゴールに到達することができなかった。このままプロジェクトは立ち消えになるかと思われたが、SMACH Teamは開発の続行を明言した。
前回のKickstarterキャンペーンで多く寄せられた声のひとつが、「製品化できるかわからない」との声だ。SMATCH ZはSteam OSを搭載しているものの、Valveとは全く関係のないスタッフで構成されており、実現性に疑問を持つ人も少なくない。そこで今回SMACH Teamは、プロトタイプ版を完成させ展示することでユーザーからの信用を得て、2度目のKickstarterを成功させる動きに出たというわけだ。
また、再始動にあわせてSMATCH Zの計画にもさまざまな変更が加えられている。まず大きな点としてはスペックの向上がはかられたことだ。昨年SMACH Zの詳細スペックが公開された際に、「720p解像度の5インチタッチスクリーン・4GB RAM・AMD G-Series “Steppe Eagle”」というミドルクラスの3Dゲームがかろうじて動くという怪しい性能に対し、VentureBeatを中心に多くのメディアが懸念を呈していた。今回こういった声に対応すべく、「Steppe Eagle」から、2GBのVRAMを搭載した「Falcon」シリーズをベースとしたSoC(CPUやGPUなどが一体化されたチップ)へと変更されたようだ。GPU性能はまだ確定ではなく、Kickstarterキャンペーン中は随時ベンチマークスコアとして公開されるとのこと。
This is such a good idea! #smachzgamescom pic.twitter.com/d1jiyPCxon
— raVenwomBat (@raVenwomBat) August 18, 2016
バッテリー駆動時間は5時間、64GBのストレージ、メモリが4G、画面サイズは5.5インチといった点はこれまでと変更なく、720pだった解像度が1080pまで引き上げられた。またファンディングの成功具合によってはProバージョンがラインナップに加えられるようで、こちらはLTE通信や通話が可能となる電話機能がついてくる。ストレージは128GB、メモリ8GBとスペックアップしているが、その他の点については同様の機能を有しているとのこと。これらの仕様はまだまだ変更される可能性もあり、画面サイズやGPUについてはユーザーの声を聞きながらパワーアップされていくようだ。
ほかにも、Kickstarterのストレッチゴールのひとつに、Windows 10への対応が加えられている。ストレッチゴールの序盤に設定されている目標を達成すれば、Steamを遊ぶ以外でもPCとしても利用できるようになる。価格は当初発表していた299ユーロのままで、Proバージョンが499ユーロとなる。
早速、ドイツメディアCurvedがgamescomのプロトタイプ版をレポートしている。ハードとしてはかなり分厚く重い印象で、まだゲームも最適化されていないからかフレームレートがままならない、といった報告があがっている。映像の4分40秒からゲームが実演されているが、2013年に発売された2Dアクション『FEZ』がガクガクしているのを見るとやや不安を感じてしまう。これはソフトウェア側の問題でのちに改善されるそうだ。両端のトラックパッドや左下に3Dスティックがついているといった仕様は変更なし。そのほかのスペックなどは公式サイトやTwitterを参照してほしい。
2度目のKickstarterは9月からの開始が予定されており、出資したユーザーを対象に来年2月から3月を目処に製品の発送を開始するとのこと。一般向けのリリース日などは公開されていないが、こちらもキャンペーンの成功次第となりそうだ