長期の早期アクセスを経て『Starbound』が文字通り待望の正式リリースへ
Chucklefishは、同社が開発し2013年12月よりSteamで配信しているアクションRPG『Starbound』について、次回の大規模アップデート”big 1.0″をもって早期アクセスを終了、正式リリースへ移行すると発表した。現在のところ具体的な日程には触れられていない。バージョン1.0では1つの惑星に複数のメインバイオームが実装され、新武器や新ペットも登場するなど、追加要素はたっぷり用意されているようだ。
開発途中であり早期アクセス版として配信されていた1本のゲームが無事正式版を迎える、という単純なニュースに聞こえるかもしれないが、『Starbound』の場合、約2年半という長い開発期間があったことを忘れてはならない。「せめてアップデートとバグ修正を…」と、一日千秋の思いで待ちわびていたファンにとって、まさに待望のアナウンスなのだ。
長年のファンには何をいまさらという説明になるが、『Starbound』はRe-logicで『Terraria』開発を手掛けたメインスタッフの一部がスタジオを離れ開発してきたタイトルだ。新たに立ち上げられたChucklefishで最初に公式発表されたのが2012年。『Terraria』ライクなグラフィックや操作感を持ちつつ、惑星から惑星へ宇宙船で旅をする広大なワールドを実装、メインシナリオやそれらと絡むクエストが用意されるなど、『Terraria』にはなかった要素を充実させることで人気を博し、早期アクセス開始から最初の1か月で100万本以上ダウンロードという大ヒットのインディーゲームとなった。
しかし、その後の開発進捗状況はお世辞にも順調とは言い難かった。頻繁に新要素追加やバグフィックスが行われる充実した期間があるかと思えば、ゲームを楽しむ上で深刻なバグの修正がなかなか行われないアップデート無しの期間が8カ月も続く……。『Starbound』への期待が高かったがゆえに、Stable版と呼ばれるバージョンへの開発陣の反応の鈍さに愛想をつかし、離れていってしまうプレイヤーも多かったのだ。
スタッフが「開発状況には波がある」「ユーザーのあれがほしいこれがほしいという要望が多すぎて、開発に手が回らない」と愚痴をこぼすこともあり、公式フォーラムが荒れ気味になることも2014年から2015年にはあった。筆者個人としては山あり谷ありの末の正式リリースを素直に喜びたい。
早期アクセス登場からちょうど1年後の2014年12月の公式フォーラム上は、
「我々ユーザーの投稿をそもそも開発陣は読んでるわけ?」
「1年前に『Starbound』買ったけど、正直存在忘れてたよ」
など、何か少しでもよいから今後の展開、開発の進捗度合いを知りたいというユーザーの声であふれていた。日本の『Starbound』ファンの間でも所詮は早期アクセス、このまま完成どころかバグ修正もなく終わるのではという悲観的な見方があったことは事実だ。
それゆえに、今回の公式アナウンスとアップデート概要はしばらく本作から離れていたプレイヤーにとっても朗報と言えるだろう。また公式開発Blogでは「早期アクセスの終了は、今後のアップデートがなくなるという意味ではない。むしろ従来のゲームエンジンの開発から、よりゲーム内の新コンテンツの制作へと力をいれていく」と述べている。
具体的なアップデート日程は発表されていないが、実装は近々に行われると思われる。この機会に『Starbound』からしばし離れていたユーザーも、ぜひ再度プレイしてみてはいかがだろう。