18年前の「スター・ウォーズ」帝国軍ゲームがファンアニメ化、4年以上の月日を費やした大作に

現在のビデオゲームは"プレイする"だけのものではない。国内外では、実況プレイで"ゲームを見る"ことや、ゲームを題材に二次創作の映像コンテンツやアートを"作る"ことも人気だ。後者では、アマチュアが製作したとは思えないようなクオリティの高い作品が時として登場する。この「Star Wars: TIE Fighter」プロジェクトもその1つに当たるだろう。海外ファンの1人が4年以上の歳月をかけ、18年前に出たゲームのアニメーション化を目指し、こつこつと作り続けた作品だ。

 


Paul Johnson氏製作のオリジナルポスター
Paul Johnson氏製作のオリジナルポスター

『Star Wars: TIE Fighter』は、1994年にMS-DOSやMac向けにリリースされたLucasArtsスタジオのスペースコンバットゲームだ。本作の1年前に発売された『Star Wars: X-Wing』の続編である。プレイヤーは銀河帝国軍のパイロットMaarek Steleとなって、主力機体「TIE Fighter」を操作し、敵戦闘機の撃破や護衛任務など様々なミッションに挑戦する。本作には拡張パック「Defender of the Empire」も存在する。

物語は、「スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲」の直後より始まる。プレイヤーの分身となるMaarek Steleは、反乱同盟軍だけでなく、海賊や帝国軍内の裏切り者たちとも戦うことになる。拡張版も含め、ストーリーは「スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還」におけるクライマックス、エンドアの戦いを前にして終わることとなる。

とはいえ、これら原作の設定を知らなくとも、「Star Wars: TIE Fighter」のアニメーションプロジェクトは十分に楽しめるはずだ。危険な宙域の哨戒に当たり、常に反乱軍や海賊たちとの戦闘で勝利をおさめている百戦錬磨のガウント艦隊が、本作の主役である。1980年代の日本アニメが意識されており、華麗な航空戦闘や機内の描写は「マクロス」シリーズを想起させる。コクピット視点やゲーム中のキャラクターの再登場、ミサイルロックオン時の「インカミング・ミサイル」サウンドなど、もちろん原作『Star Wars: TIE Fighter』へのトリビュートも忘れてはいない。

 

 

製作者の名は「Mighty OtaKing」。もちろん岡田斗司夫氏ではなく、Paul Johnson氏という名の人物だ。氏が週末を利用し、4年以上の歳月をかけて製作を続けているということだが、パトロンの募集やKickstarterを利用してさらなる長編映像を製作する計画はないという。なお原作の『Star Wars: TIE Fighter』は、拡張版を収録したスペシャルエディションがGOG.comにて9.99ドルで販売されている。

 

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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