スクエニ、海外で制作された大型Mod作品のSteam配信を許可する。初代『Deus Ex』のアップグレードMod「Revision」にて
スクウェア・エニックスは、初代『Deus Ex』のアップグレードMod「Revision」のSteam配信を許可した。『Deus Ex』は約15年前の2000年にリリースされたSF-RPG作品で、「Revision」は同作のビジュアルやサウンドをオーバーホールするModである。過去にはSteam上で『Just Cause 2』のマルチプレイヤーModが配信されたことがあるが、今回スクエニは非公式のModを認可したほか、プレスリリースを配してModの配信スタートを祝してすらいる。
スクエニ、ファン製コンテンツを認可
『Deus Ex』は、2011年に国内外でリリースされた『Deus Ex: Human Revolution』の源流に当たるタイトルだ。開発はIon Storm、パブリッシングをEidos Interactiveが担当していた。『Human Revolution』から25年後の2052年、ゲームの舞台となるのは映画「ブレードランナー」に代表されるような荒廃したサイバーパンク世界。プレイヤーは情報テロリズムを未然に防ぐため結成された通称UNATCOのエリート隊員「J.C. Denaton」となり、様々なサイバー事件を解決してゆく。
この『Deus Ex』をオーバーホールする「Rivision」は、7年前から開発チームCaustic Creativeによって制作が進められてきたModだ。各ロケーションのレベルデザインを新たに調整したほか、エレクトロバンドEdenShardによるサウンドトラックを収録し、Direct3D 9レンダリングに対応。またテクスチャを高品質のものに差し替える「New Vision」や、新規3Dモデルを追加する「Project HDTP」といった他のMod作品も収録されている。過去10年以上にわたりファンコミュニティが制作した代表的なModがほぼすべて収録されていると考えてよいだろう。
Caustic Creativeによれば、「Rivision」の配信後にトラブルに見舞われないようにするため、現在の版権元であるスクエニにコンタクトを取ったのだという。ここで配信の停止を命じられてもおかしくはないが、Caustic Creativeは「スクエニが配信が迅速に進むよう手厚く手助けしてくれた」とも伝えている。『Deus Ex』シリーズは今年で15周年を迎え、来年にはシリーズ最新作『Deus Ex: Mankind Divided』のリリースを控えている。そういう意味ではプロモーション的なメリットがスクエニ側にもあったと見てよいだろう。
今回の「Revision」プレスリリースのなかで、現在の『Deus Ex』シリーズを手掛けるEidos MontrealのヘッドDavid Anfossi氏は、「『Deus Ex: Mankind Divided』が発売される前に新旧のファンが初代『Deus Ex』のすべてを体験するなら、Caustic Creationの「Revision」は素晴らしい手段です」とコメントしている。
海外では、非公認のファンModが販売元に認められることは珍しくなく、Valveが『Half-Life』のオーバーホールMod「Black Mesa」の有料販売を認めたという例すらある。とはいえ国内では文化が根付いていないこともあり、日本出のパブリッシャーがプレスリリース上でModを認めるというのはかなり珍しい“事件”だといえるだろう。
なお現在、Steam上では初代『Deus Ex』と『Deus EX: Human Revolution』のセールが実施されており、初代『Deus Ex』は80パーセントオフの139円にて購入することができる。日本語化Modもインターネット上で出まわっており、気になるプレイヤーはチェックしてみるといいだろう。