『サイレントヒル f』オーストラリアで発売禁止に。レーティングを取得できず

コナミのサイコロジカルホラーゲーム『SILENT HILL f』が、オーストラリアにて発売禁止となったようだ。本作の対象年齢を決定するレーティング機関の審査結果が先日公開され明らかになった。
本作は、『SILENT HILL(サイレントヒル)』シリーズの最新作。「美しいがゆえに、おぞましい。」をコンセプトとし、同シリーズで初めて日本が舞台に。昭和の田舎町に暮らす高校生・深水雛子は、思春期相応の平凡な日常を送っていたが、ある日突如町が変貌し、身を守るために奇怪な存在と戦うことになる。
『SILENT HILL f』は、PC(Steam/Epic Gamesストア/Microsoft Store)/PS5/Xbox Series X|S向けに開発中。発売日は未定ながら、対象年齢を決定するレーティング機関による審査が各国・地域にて進められており、日本では同シリーズとして初めてCERO: Z(18歳以上のみ対象)に区分された(関連記事)。
そしてオーストラリアでは、同国の審査機関Australian Classificationによる審査結果が先日3月14日に公表。「Refused Classification」と判断されたことが明らかになった。これはすなわち、対象年齢区分のいずれのカテゴリーでも許容できない表現が本作に含まれており、レーティングを付与することを拒否されたということ。Australian Classificationは政府組織であり、この結果は同国内での発売禁止を意味する。なお、具体的にどういった表現が問題となったのか、理由については公開されていない。

先述したように、本作は日本では『サイレントヒル』シリーズとして初めてCERO: Z(18歳以上のみ対象)にレーティングされた。また、北米のレーティング機関ESRBではM(17歳以上対象)にレーティングしたうえで、その判断の根拠となった作中の表現について公表。残虐でグロテスクな表現がさまざま盛り込まれているという(関連記事)。
さらにコナミ自身も、本作の公式サイトにて「このゲームには、性差別や児童虐待、いじめ、薬物による幻覚、拷問、強い暴力表現が含まれています」「ゲーム中に不快感を感じた場合は、いつでもプレイを中断し、休憩を取るか周りの人に相談してください」と注意喚起。また、本作は1960年代を舞台としており、当時の世相や慣習に基づいた表現があるとも述べている。
おそらく、そうした過激な表現がオーストラリアの審査機関では受け入れられなかったものと考えられる。ちなみに同国では、同シリーズの過去作『Silent Hill: Homecoming』が、残虐表現を理由として一時発売禁止になったこともある(日本でも発売中止)。

また本作に関しては、主人公が高校生という設定も、Australian Classificationの判断に影響を与えたかもしれない。同機関では、未成年のキャラクターの扱いは厳しく評価される傾向にあり、たとえばブシロードの対戦格闘ゲーム『HUNTER×HUNTER NEN×IMPACT』は、18歳未満のキャラクターに対する性的暴力を示唆する描写が含まれているとして「Refused Classification」にレーティングされた。同作は、人気漫画「HUNTER×HUNTER」をもとにした作品ということもあって、発売禁止の判断は当時話題となった(関連記事)。
ともあれ、今回の審査結果により本作『SILENT HILL f』はオーストラリアでは発売できない状況となった。なお前出の『Silent Hill: Homecoming』では、表現規制版を開発して再審査に臨み、結果的に発売にこぎつけた。本作でもそうした対応が取られるのか注目されそうだ。また弊誌では、本作の審査結果の理由についてAustralian Classificationに問い合わせており、回答があれば追記する。
『SILENT HILL f』は、PC(Steam/Epic Gamesストア/Microsoft Store)/PS5/Xbox Series X|S向けに開発中。発売日は未定だ。
【UPDATE 2025/3/24 16:33】
Australian Classificationは3月24日、『SILENT HILL f』を「Refused Classification」と判断したことに関する弊誌の問い合わせに回答した。弊誌は今回の判断の理由について伺ったが、同機関からの回答はというと、本作は現在「Refused Classification」には分類されていないというものだった。先日公表した審査結果ページも取り下げたとのことで、実際削除されている。また同機関は、本作の発売前にあらためて審査結果を公表するだろうとした。
詳細な経緯ははっきりしないが、どうやら本作は再審査される運びとなったようだ。「Refused Classification」との結果を受けて、コナミが何らかの働きかけをおこなったのかもしれない。再審査に向けて指摘された表現を修正するのか、あるいは修正なしでもオーストラリアでリリース可能となるのか注目されそうだ。
なお、弊誌ではコナミにも今回の一件について問い合わせをしており、再審査や表現規制に関しても訊いている。回答があれば追記する。