Sekai Projectがステマ疑惑が浮上した開発スタジオとの提携を打ち切る、レビュー代行には無関係と釈明


国産ビジュアルノベルの英語ローカライズ販売を手がけるSekai Projectは、『WAS -The Hourglass of Lepidoptera-』(原題:WAS レピドプテラの砂時計)のKickstarterページを更新し、クラウドソーシングを用いたレビュー代行の疑惑が持たれていた開発元S.R.L(通称、時空調査研究所)との契約を破棄したことを明らかにした。Steamストアにおける同作の販売を停止すると共に、まだ製品コピーを受け取っていない出資者に対しては、随時返金に応じるとのこと。なお、今回の騒動に関して、Sekai ProjectはAUTOMATONへ声明を発表しており、不正疑惑には一切関与していないと釈明している。

 

Sekai Projectは疑惑と無関係

先日、多種多様な仕事を依頼・検索できるクラウドソーシングサービス「クラウドワークス」に、「Steamでの評価レビューが行える方」という仕事依頼が投稿された。また、「ランサーズ」でも同様の依頼が確認されていた。いずれもすでに非公開にされており、現在は閲覧できない。依頼主の名やレビュー対象となるゲームタイトルは直接的には伏せられていたが、鳥取を拠点に活動する国内のゲームデベロッパーS.R.Lとさまざまな情報において一致していたことから、昨年12月にSteamでリリースされたビジュアルノベル作品『WAS -The Hourglass of Lepidoptera-』にステルスマーケティングの疑惑が浮上した。なお、レビュー代行による印象操作は、Steamの利用規約で明確に禁止されている。
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この報道を受けて、Redditや4chanといった海外フォーラムでも議論が一気に過熱。パブリッシャーを担当していたSekai Projectは、事実を確認した上でS.R.Lとの提携破棄を決定した。SteamのストアページからはすでにSekai Projectの名前が消えており、同作の販売も近日中に停止するとのこと。すでにSteamのゲームキーを所有しているユーザーが影響を受けることはない。現在、Kickstarterページにて、まだ製品コピーを受け取っていない出資者を対象とした返金に応じている。また、出資者へのリワードとして配布を予定していた色紙に関しても、S.R.Lから人数分の提供がなかったことを理由に返金対象としている。なお、今回の騒動に先駆けて、Sekai ProjectはS.R.Lとの法的問題や不承諾に直面していたとのことで、これまで支援者へ現状を報告できなかったことについて、影響を被った全てのユーザーに向けて謝罪している。

時を同じくして、Sekai ProjectはAUTOMATONに対して一連の騒動に関する声明を発表した。代表を務めるChristopher Ling氏によると、同社が件のレビュー代行を容認した事実はなく、S.R.Lの疑惑には一切関与していないとのこと。S.R.Lとは以前から多くのトラブルを抱えており、関係の修復に向けた善処の真っ只中であったことを明かしている。新たな疑惑の浮上により、Sekai Projectの信用を失墜させかねない風評が、すでに海外フォーラムを中心に飛び交っているとして、正確な現状を伝えるために改めて釈明した。確かに、これまで『CLANNAD』をはじめ、数々の著名な国産アドベンチャーゲームをローカライズ販売している同社が、Steamの利用規約や過去の事例を熟知していないはずはなく、リスクを冒してまで不正を主導するのは道理にかなわない。予期せぬ風評被害を被ったようだ。

AUTOMATONは現在、前回の報道に際してS.R.Lに送った質問状の回答を引き続き待つと共に、運営元である株式会社Eostreに電話で問い合わせている。しかし、今のところ応答がないため、同社宛に一連の報道に関する真偽を確かめる旨のメールを改めて送っている。