現代に蘇るカートリッジ式の最新ゲーム機「Retro VGS」今夏Kickstarterファンディングを開始
レトロゲーム専門雑誌「Retro Magazine」の出版者でもあるMike Kennedy氏は、最新ゲーム機「Retro VGS(Video Game System)」を開発中だ。ゲームソフトの流通はとうの昔にディスクとデジタルダウンロードへ移行しているが、「Retro VGS」は今あえてカートリッジを選択したゲームハードである。ファミコンやメガドライブなどのゲームが動く「Retron 5」のような互換機ではなく、「媒体がカートリッジの全く新しいゲーム機」というコンセプトに挑戦している。
Mike Kennedy氏は70年代から80年代にレトロゲームと共に育ってきた40代のゲーマーだ。2008年からポッドキャスト「Retro Gaming Roundup」でレトロゲームの情報を発信してきたほか、レトロゲームのオークションサイト「GameGavel」を運営しており、 Kickstarterで資金を集めてレトロゲーム専門雑誌「Retro Magazine」を出版している。とにもかくにもレトロゲームを好きな男が、今度は自身でレトロなゲームハード開発に乗り出す。
海外メディアVentureBeatやArsTechnicaの 取材によれば、「Retro VGS」はFPGAとARMアーキテクチャを組み合わせて動作する。一般的なUSBコントローラーに対応しており、HDMIだけではなくコンポジットや S-ビデオ端子にも対応しているが、ネットワーク接続は無い。コンソールの詳細なスペックは明らかにされておらず、開発チームがコストと性能を検討してい る段階だ。また、Kennedy氏らはAtari Jaguarとそのカートリッジを生産するために使用されていた工業用ツールを保有しており、「Retro VGS」の生産において再利用されるという。
デジタルダウンロードが主流となりつつあるなかで、「Reto VGS」の勝算はどこにあるのだろうか。Kennedy氏はAtariのゲームが30年が経った現在も動作することを例に挙げ、過去のレトロゲームのよう な強固な耐久性が「Retro VGS」とカートリッジにはあるとアピールした。また近年、デジタルダウンロードの流通によりインディーゲームがにぎわい、ソニーやMicrosoftも 同ジャンルを推進している背景がある。インディーゲームでは、8ビットや16ビット時代のゲームの精神を受け継いだレトロ風ゲームが多数展開されており、 そのムーブメントが「Retro VGS」へと繋がる可能性は無くもない。
ただしかつての「Ouya」のように、ハードの集客力に繋がる目玉のゲームタイトルが集まるかどうかは、最大の問題点だ。現在Kennedy氏は 『Shovel Knight』のYacht Clubや『Retro City Rampage』のVblank Entertainmentとコンタクトを取っているという。「Retro VGS」は今夏にもKickstarterファンディングが実施される予定であり、もし驚くようなニュースがあるのならば、その際に知らされるだろう。