『バイオハザードHD』の声Modが製作中 新録吹き替え音声を”酷いオリジナル版”へ

10年以上の時を経て国内外でリリースされた『バイオハザード HDリマスター』。本作は2002年にニンテンドーゲームキューブ向けに発売された『biohazard』のHDリメイク版だ。グラフィックスのアップグレードはもちろん、ゲーム内のキャラクターボイスも一新されている。だが海外では、その一新されたボイスを、あえて1996年の初代『バイオ』の酷い演技に戻してしまうModが製作されている。

 


「あうち」

 

このModは、海外の『バイオハザード』Modフォーラムにて発表された。製作者のBunny氏は、「『バイオハザードHDリマスター』のボイスを、オリジナル版『バイオ』の"伝説的"な声の演技に置きかえるModを製作している」と説明している。現在は3つのテスト映像が公開されており、どれもオリジナル版の酷い演技を聞くことができる。リチャード・エイケンの救出シーンは、ゲーム中でもっとも酷い演技の1つだろう。

 

 


初代『バイオ』の演技が酷い理由

 

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初代『バイオハザード』の声の演技は、なぜこれほどまでに酷いのだろうか。昨年開催されたアニメ関連イベントAniMinneapolisにて、関係者が説明したことがある。『バイオハザード5』のアルバート・ウェスカー役D.C. Douglas氏は、「『バイオハザード1』について。アルバート・ウェスカーを演じたSergio Jonesを思い浮かべてたよ、彼の演技はあまりにも酷かったとみんな言ってるよね」と話し始めた。

Douglas氏は、Sergio Jones氏はけっして悪い声優ではなく、むしろ収録方法に問題があったと指摘する。当時、演者たちには300行ものセリフが書き込まれたエクセルシートが渡され、それぞれ3テイクずつ収録する手法が取られたという。実際にどんなシーンなのかもわからないまま、演者は発音の強弱やリズムをつけて3度演技する。そのなかから、日本のエンジニアが「最後のリズムが好きだ」と、気に入ったテイクにOKを出す方式で収録は進んでいった。

同席していた『ストリートファイターIV』英語ローカライズ担当プロデューサーJonathan Klein氏は、日本人が良いと思っている発音や喋り方が、英語圏でもつねに良く聞こえるわけではないと語る。みながビデオゲームでもいい演者を使ってほしいとことを理解したと、フォローの言葉を続けた。

なお、書籍「The True Story Behind BIO HAZARD」では、同作には日本語のボイスも収録されていたものの、「カッコ悪かったのでボツにされた」ことが明らかにされている。『バイオハザード HDリマスター』ではキャストが一新されており、日本語および英語の新吹き替えが収録されている。

 

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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