節約家のためのSteamウィンターセールおすすめ10選。低スペックPCで遊べるタイトルあり
PCゲームを中心とするダウンロード販売サイトSteamでは、懐まで凍えるウィンターセールが開催されている。今年発売されたばかりのAAAタイトルが20%以上割引されるなど、例年ほどではないにせよゲーマーを財政難に陥れるトラップが大量に仕込まれている。
わたしはときどき、みなさんがGTX 980やR9 390Xを搭載したハイエンドPCを連日稼働させ、最新のAAAタイトルをフルプライスで購入しているものだと思い込んでしまうことがある。それが間違いだと気づくのは、十数年前に発売されたゲームをGOG.comで購入したときや、友人のPCの性能(低スペック)を考慮したゲーム探しをするときだ。2015年に発売されたゲームだけが面白いというわけではないし、最新のゲームを遊ぶためにグラフィックカードを新調するという人はそう多くないだろう。またみなさんには、連休を利用して恋人と旅行に行ったり、お正月に生意気な甥や姪にお年玉を投げつけたり、初詣で神社の賽銭箱に札束を投げ込んだりなど、これからの数日間は出費がかさむという現実が待ち受けている。
今年発売され注目度の高いゲームのセール情報はこちらの記事やSteamのトップページを参考にしていただくとして、本稿では節約家の方のための低価格で購入できるおすすめゲームを紹介する。まずは『Super Hexagon』をクリアしてから読んでほしい。
Door Kickers
みなさんは自宅のドアを蹴り破られたことはあるだろうか?私は……。『Door Kickers』は、SWATをテーマにした戦術が重要視されるストラテジーゲーム。『Frozen Synapse』や『Breach & Clear』に近いものがあるが、本作は基本的にリアルタイム制である。といってもピュアなRTSというわけではなく、一時停止をかけて各兵士に細かな指示を出すこともできるので、素早い操作が苦手だという方でも安心してプレイできる。
プレイヤーはSWATを操る司令官となり、10名の兵士のなかから4名をピックアップしてチームを編成し、テロリストの殲滅や捕虜の救出などさまざまなミッションを遂行していく。それぞれの兵士は作戦を完遂することで経験値を獲得し、レベルが上がり能力も上昇していく。携帯させる武器や防弾ベストなども選べ、兵士の役割を考えながらカスタマイズしていく楽しさもそれなりにある。
『Frozen Synapse』の複雑さに挫折してしまった方や、部屋への突入が大味すぎて『Breach & Clear』に緊張を感じなかった方に、『Door Kickers』をおすすめしたい。iPad版もセール対象となっており240円で販売されているが、遊びやすさやSteam Workshopの対応を考えるとPC版のほうがいいだろう。
Dungeons 2
土を掘削してダンジョンを拡張し、金などの資源を集めて勢力を拡大していく。そして、ときおりおとずれる英雄御一行をトラップや番人モンスターで返り討ちにする。名作『Dungeon Keeper』の最新作を待ち望む人は、コアゲーマーのなかに多いはず。しかし思い出してほしい。最新作は2014年にリリース済みだ。そろそろ『Dungeon Keeper 3』のことは忘れたほうがいい。
『Dungeons 2』は『Dungeon Keeper』を強く意識したRTSで、基本的な部分はよく似ている。ただ、完全なクローンというわけではなく、『Warcraft III』風の攻めのパートが存在する。ダンジョンを拡張して守りに徹するのではなく、キャンペーンモードのクエストによっては、モンスターを引き連れて人間たちのキャラバンを襲い、敵対種族の拠点を破壊できるのだ。ただし、地下と地上それぞれで資源を採集したり建設したりするのではなく、あくまでクエストの遂行のためだけに戦いに出かけるというものなので、とんでもなく自由度が高いゲームだとは思わないほうがいいだろう。
キャンペーンモードのほか、好きなマップや陣営を選んで遊べるSkirmish、オンラインで対戦できるマルチプレイもあり、最低限必要なゲームモードは搭載されている。日本語には対応していないが、ゲームシステムはそれほど複雑ではないので、あれこれ試しているうちに理解できるはずだ。ダンジョンを探索して悪を成敗するのではなく、いつもとは逆の立場を楽しみたいという方は、『Dungeons 2』の購入を検討してみてはいかがだろうか。
Deathtrap
不気味なモンスターの猛攻を、さまざまなトラップを使い分けてしのぐ。それだけで守りきれない場合は、自らの剣を抜き突撃する。『Deathtrap』は定番のタワーディフェンス要素を持ちながら、そこに『Diablo』ライクなアクション要素を取り入れた。グラフィックや世界観を見てピンとくる方もいるだろう。デベロッパーは、『The Incredible Adventures of Van Helsing』シリーズを手がけるNeocoreGamesだ。
プレイヤーは、まさにハック&スラッシュな近接攻撃を得意とする「Mercenary」、魔法を使った遠距離攻撃でモンスターを殲滅する「Sorceress」、ふたつのクロスボウで高いダメージをたたき出す「Marksman」の3人のなかから1人を選び冒険に出発する。どのキャラクターを選択してもトラップ(タワー)を使用でき、基本攻撃とスキルをたくみに操りすべてのウェーブを乗り切ればステージクリアとなる。
タワーディフェンスの成長要素といえば、タワーのレベルアップだろう。しかし本作はRPG要素があり、主人公自身のレベルを上げることでスキルを強化したり、ステージクリア時に登場する宝箱から手に入るレアな装備を集めたり、一般的なタワーディフェンスでは味わえないであろう幅広い楽しみが詰まっている。さらに装備品のクラフトまでできるのだから、おなかいっぱいである。
Awesomenauts
ほとんどのMOBAはストラテジーの要素が強く、e-Sportsの大会映像を見れば見るほど、初心者にとっては敷居が高いと感じる人もいるだろう。しかしすべてのMOBAがそうとは限らない。なかにはとっつきやすい作品も存在する。それが『Awesomenauts』だ。3vs3のチーム戦で、ステージにはタワーやコアが存在し、一定時間ごとにミニオンが出現するあたりは一般的なMOBAとさほど変わりはない。大きな違いは、アクションの要素が強いという点だ。
『Awesomenauts』は一見すると横スクロールのアクションゲームに見えるだろう。それはほぼ正解で、さきほど述べたMOBAの定番要素というものはあまり意識しなくていい。ステージはそれほど広くなくレーンの移動も素早くおこなえるため、誰がどこを担当するというような取り決めは不要。ゲームパッドをつないで遊べば、『大乱闘スマッシュブラザーズ』感覚で楽しめるはずだ。もちろん『Dota 2』や『League of Legends』と比較すると戦術面の奥深さに不満を感じる人もいるかもしれないが、複雑そうだからと敬遠している人にとっては最適なMOBAであるといえる。また、RTSは好きじゃないけどアクションゲームは好物だという方にもおすすめだ。
『Awesomenauts』は発売から3年が経過しており、アクティブプレイヤー数は少ないのだが、試合の途中から参加できるということもあり、マッチングに待たされる時間はそれほど長くない。また、どうしてもプレイヤーが6人集まらない場合は、Botが参加して試合がスタートする。もしプレイヤー数が少ないと感じたならば、設定にある「Matchmaking Search Area」がWorldwideになっているかどうか確認しよう。もしなっていたら、あきらめて寝よう。
Audiosurf 2
「こいつとは気が合わない」と思っていたら、音楽の趣味も合わなかった。よくあることだ。私の経験上、職場の雰囲気が悪くなる会話のネタは、だいたい決まって「好きな野球チーム」か「好きな音楽のジャンル」である。それくらい音楽の好き嫌いは重要だと個人的に思っている。
世に多数存在するリズムゲームは、ほとんどが似たようなジャンルの音楽を採用しており、ユーロビートが苦手というだけで疎遠になりがち。それを解消してくれるのが『Audiosurf 2』である。
『Audiosurf 2』はリズムゲームでもあり、レースゲームでもある。またパズルゲームでもある。特徴はなんといっても前作と同様に自身が所持するmp3ファイルをゲームに読み込ませるとコースが自動生成されるという仕組みだろう。プレイヤーはお気に入りの音楽を聴きながら、山あり谷ありのコースを滑走し、落ち物パズルの要領で同色ブロックを集めながらスコアをかせいでいくのだ。
ゲームモードは、前作から受け継がれた定番の「mono」のほか、未来のウェイクボードで音の波に乗る「wakeboard」、コースにまかれたマキビシを避けながらブロックを集める「ninja」、そして友達が多い読者のみなさんにとってこれからの季節にぴったりな4人同時プレイ可能の「audiosprint」が用意されている。もちろんすべてのゲームモードに自身の音楽ファイルを使用でき、さらにはWorkshopで公開されているModやスキンも適用できる。
『Audiosurf 2』を長時間遊んでいると、ゲームが面白いのか、それともお気に入りの音楽を聴き続けたいだけなのかわからなくなるときがある。それくらい、本作は音楽がメインなのだ。もしもあなたがゲームと相性の良い音楽を所持していない場合、今作から対応となったsoundcloudを利用すればいい。世の中に存在する楽曲の数だけ『Audiosurf 2』は楽しめるのだ。
Titan Quest Gold
『Titan Quest』は古代ギリシャやエジプトなどを舞台としたアクションRPG。今から約9年前に発売された。似た作品としてあげられる『Diablo II』よりも6年後に登場しただけあって、ビジュアル面や操作性に関しては本作のほうが優れているといえるだろう。着々と正式リリースに向かっている『Grim Dawn』を開発するCrate Entertainmentの設立者たちが過去に手がけたということで、全体的に似ている部分が多い。
『Titan Quest』の特徴のひとつとして、クラス制ではないということがあげられる。『Diablo』シリーズなどは、ゲーム開始時のキャラクターメイクの際に主人公のクラスを決定する。しかし本作は、成長しながらクラスを決めていく。この育成システムによって、自分だけのヒーローを育て上げることができるのだ。どのビルドが強いのかを目指すのもよし、一番楽しいのかを探すのもよし、それもあって本作は今もなお愛されている。
とくに序盤の基本攻撃が重視されるうちはまさにハック&スラッシュといったところで、戦闘に派手さはないがモンスターを斬って叩き潰す感覚は『Grim Dawn』にも引き継がれているように感じる。低スペックPCでも動作し、オンラインのマルチプレイにも対応しているので、年末年始に友達を誘って一緒に遊ぶというもいいだろう。ちなみに、非公式のパッチを適用しないとうまく動作しないことがあるので、まずはこちらのサイトから「patch 1.17a」をダウンロードすることをおすすめする。パッチがうまく適用できない場合は、『Titan Quest』『Titan Quest: Immortal Throne』両方を一度起動してから再挑戦すると解決するかもしれない。
Holy Potatoes! A Weapon Shop?!
きみは今日からジャガイモだ。けっして馬鹿にしているのではなく、このゲームの世界の住人たちはジャガイモなのだ。といっても、緑の芽が生えていたり、デコボコした不恰好な外見をしているわけではないので安心してほしい。『Holy Potatoes! A Weapon Shop?!』は、タイトルにあるとおり、武器屋を営むシミュレーションゲームである。正確には鍛冶屋であり、そこで働くジャガイモたちは武器を鍛え上げることをメインの仕事としながら、ときには自身で営業に出かけたり、特殊な素材を求めて探検に出かけたりする。職人でもあり探検家でもあり商人でもあるエリートなジャガイモ。
工房には四つの作業場があり、それぞれが攻撃・速度・精度・魔力のステータスを担当している。たとえばそのなかで攻撃の作業場だけで武器を鍛えると、攻撃力しか持たない武器が完成する。逆に四つの作業場を使えばすべてのステータスを持つ武器が出来上がるというわけだ。基本的には、工房で暇を持て余している職人全員が生産に参加するので、前述したステータスの極度の偏りは発生しないのだが、やる気欠乏症を治すためにバカンスに行かせたり、素材を求めて探検したり、新武器を研究するなどに職人を割り当てると、作業場に空きができてしまうので、3人しかいない序盤はとくに注意が必要だ。
遊び始めのころはクリッカー系のゲームに感じる人もいるだろう。その後続けていけば見事な作業ゲームであることに気づくはずだ。登場するキャラクターはすべてかわいらしく、ランダムに発生するイベントにもジョークがきいていて楽しい。男女問わず遊べるはずなので、まずはトレイラーなどを見て情報を収集し、購入を検討してみてはいかがだろうか。
Siralim
『Siralim』は2014年に発売された、モンスター収集RPG。来年2月に北米地域でPlayStation 4とPS Vita向けに配信されることも決定している。見た目からわかるとおり非常にレトロなスタイルのダンジョン探索RPGで、戦闘はコマンド選択方式のターン制。主人公は攻撃する術を持っておらず、召喚したモンスターで戦うスタイルがとられている。不気味な『ポケモン』といったところだろうか。ゲームの説明にRoguelikeと書かれているが、ダンジョンが毎回自動生成されるという点ぐらいしかその要素はないので、過剰な期待はしないほうがいいだろう。
ゲームの流れは、自身の城を拠点とし、ポータルを利用してダンジョンへ飛び、クエストをこなしながらモンスターを召喚するために必要なコアを集め、レベリング含むハードな反復作業を延々と続ける。と書くと面白くなさそうだが、モンスターの討伐を繰り返すことで城を拡張してクラフト施設を建設したり、レベルアップで伸ばせる能力の種類が豊富だったり、苦労が結果に反映されるので、とっつきにくさはあるものの一度システムを理解してしまえば長時間没頭してしまうほど自分がハムスター化する。もちろん作業ゲームを極端に嫌う人にはおすすめできない。
基本的には画面右上のクエストに従って進めていけばいいのだが、まれに目標が表示されないことがあるので、そのときはポータルの間にいる二人のNPCと会話すれば解決する。プレイヤーが強くなるほどモンスターも強力になっていくので、先へ進むほど戦闘では頭を使わなければならなくなる。低スペックのPCで動作し、レトロスタイルで一風変わったRPGを探しているのであれば『Siralim』を手にとってみるといいだろう。騙されたと思って騙されてほしい。
Shatter
一見すると『Geometry Wars』のような全方位シューターに見えるかもしれないが、本作はブロック崩しである。特殊な『アルカノイド』といったところだろうか。ボールをロストせぬよううまく弾いてブロックを破壊し、ハイスコアを目指しながらステージをクリアしていく。ボスが登場したり、変則的な構造のステージが登場したりと、ゲームプレイが単調にならぬよう工夫されている。2009年に発売されたPlayStation 3版は高い評価を獲得し、2010年にSteamにてPC版がリリースされた。
『Shatter』の特徴は未来的でSF風のビジュアルだけではない。自機はボールを跳ね返すだけでなく、特殊な風を発生させてボールや特定のブロックを押し返したり、または引き付けたりできる。この風を利用してボールの軌道を曲げながらステージ上のすべてのブロックを破壊していく。一般的なブロック崩し以上にプレイヤースキルが活きる仕組みを体験すれば、高評価だったことにも納得できるだろう。また、ブロックを破壊すると水晶のかけらのようなアイテムが出現し、それをためていけばShard Stormという射撃が可能になるなど、ステージ攻略の手段に幅を持たせている点も評価できる。
ふたりで遊べるCo-opモードも用意されているので、友達と一緒に遊ぶといいだろう。友達がいなければ、ひとりでハイスコアを目指して遊ぼう。
STARWHAL
年末年始に親戚や友人と集まり、ビデオゲームで一緒に遊ぼうとなった場合、ひとつ気をつけなければならないことがある。それは、なるべく誰でも簡単に遊べるゲームを選ぶことだ。格闘ゲームやCo-opアクションなど、ローカルマルチに対応したゲームはSteam上でたくさん販売されているが、そのほとんどはある程度のテクニックを持つプレイヤーが連勝することになりやすい。その結果、場が冷めてしまったという経験のある方もいるだろう。そのような心配が無用なのが『STARWHAL』である。最大4人まで参加できる対戦ゲームだ。
プレイヤーは、1本の長い牙が特徴の哺乳類イッカク。手描き感あふれるビジュアルは、今から殺し合いが始まることを予感させないほどの脱力系。愛らしいイッカクの姿をよく見てもらうと、胸にハートマークが見えるだろう。このハートが急所であり、唯一ダメージを受ける箇所である。長い牙をほかのプレイヤーの心臓に突き刺しライフをゼロにして脱落させ、最後に生き残った者が勝者となるバトルロイヤルは、殺伐としたものではなく爆笑の渦に……。
『STARWHAL』は思いどおりにイッカクをコントロールできないという、『QWOP』や『Surgeon Simulator』ほどではないがなんとも奇妙な操作感となっており、相手を追ったり逃げたり、心臓を狙って牙で突くという単純なことすらうまくできない。しかしそれはストレスではなく、ゲームプレイ映像を見ていただくとわかるとおり、アクシデントの連続が面白さを生み出している。牙が心臓に近づくとスローモーションになるという演出がプレイヤーに緊張感を与え、予想外の角度から突き刺されたときはその場に笑いが起きる。
強いやつが勝ち続けるゲームはうんざり。そんなあなたには『STARWHAL』がおすすめだ。性別年齢問わず、年末年始は笑って過ごそう。
まだまだ紹介しきれないほど隠れた名作がセール対象となっているので、カテゴリやタグを利用したり、「類似したアイテム」をいつも以上に注意深く見てみたり、普段遊ばないジャンルのゲームにも目を向けてみてはいかがだろうか。