海外メディアgamesindustry.bizの取材により、ピーター・モリニュー氏が設立したゲーム開発スタジオ22CansのCEOに、新たにSimon Phillips氏が就任したことが明らかとなった。前CEOであったモリニュー氏は、クリエイティブ・ディレクターとしてスタジオに留まる。『Godus』でファンとメディアから熾烈なバッシングを受けたモリニュー氏だが、あらためて22Cansの再生(リブート)を目指している。
Simon Phillips氏は、今年3月より22Cansにてエグゼクティブディレクターを務めてきた人物だ。過去にはモバイル向けカジュアルゲームのFairPlay Mediaや、英国のスタジオGusto Gamesに在籍するなど、業界で20年以上の経験があるベテランである。
Phillips氏は、22Cansにおける経営理念が「世界を変えるアイディアを創造することだ」とコメントした。モリニュー氏に関しては、CEOの座から退くことで、クリエイティブなディレクションにより専念することができると説明する。今後モリニュー氏は『Godus』だけでなく、昨年末に発表された謎の新作『The Trail』の開発にも関わってゆくという。
今回22Cans内におけるスタッフの配置換えはPhillips氏だけではない。新たにPRマネージャーとしてColin Gallacher氏、プロデューサーとしてAnthony Straub氏、プログラマーとしてRichard Williams氏、さらにはアート方面で2人、プログラミング方面でインターン1人が雇用されている。
- 参考記事: ピーター・モリニューの『Godus』における失敗
22Cansは、『ダンジョンキーパー』や『Fable』シリーズなどの名作を生み出してきたピーター・モリニュー氏設立のスタジオだ。2012年2月に設立され、第1弾タイトルとして『Godus』を正式発表。『ポピュラス』を生み出したゴッドゲームの神の最新作として、注目を浴びていた。
しかし2015年2月、22Cansとモリニュー氏は『Godus』に関し、ファンやメディアから熾烈なバッシングを受けた。『Godus』は、Kickstarterにて52万ポンド以上を獲得し、当時はモバイル版もリリースされたものの、肝心のPC版は早期アクセスのままで完成に至っていない状況だった。ゲームは完成せず、Kickstarterで約束されたはずのリワードも届けられず、コミュニティとのあいだに生じる摩擦は日々強くなっていった。過激なファンからモリニュー氏へ殺人予告が届くこともあったという。
契機となったのは2月9日で、モリニュー氏が謝罪の動画を投稿し、『Godus』において「過ちを犯した」と認めたことで、海外メディアが一斉に『Godus』の件を強く追求した。最終的にモリニュー氏は表舞台には姿を見せないと約束したが、今回のスタジオ一新と自身の配置換えは、この約束に連動したものだろう。PC版『Godus』をどこまで完成させ、そして新作『The Trail』でゲーマーたちを驚かせることができるのか。再生への道は長く険しい。