注目ホラー『リアニマル』を遊んだら、『リトルナイトメア』シリーズから“亜種進化”した次世代ホラーだった。逃げるより救う、恐怖も勇敢もある大胆進化
Tarsier Studios過去作、とくに『リトルナイトメア』との違いという観点を軸に、ゲームプレイを紹介していこう。

2026年2月13日にTHQ Nordicから発売予定の『REANIMAL(リアニマル)』。同作は、『リトルナイトメア』シリーズの1・2作目を手がけたTarsier Studiosの新作ホラーゲームだ。対応プラットフォームはPC(Steam/Epic Gamesストア/GOG.com)/Nintendo Switch 2/PS5/Xbox Series X|S。Tarsier Studiosは『Little Big Planet』シリーズの開発に関わったことで身に着けたであろう「カワイイ & マスコット」系のノウハウをホラーゲーム『リトルナイトメア』に昇華することで世界中のホラーゲームファンをわしづかみにした。
『リトルナイトメア』は子供のような小人を操作して、大人のような巨人とそれに類する化け物から逃げ惑うホラーアクションアドベンチャー。奥行きのある横スクロールではありつつも、基本は移動とジャンプ、しゃがみの簡単な操作で謎解きとステルスをしながら逃げ惑う体験、そして何よりも恐怖を醸し出すビジュアルと演出が話題を呼んだ。
そして、Tarsier StudiosはEmbracer Groupによるスタジオ買収を経て、THQ Nordicから『REANIMAL』をリリースすることとなる。初報で公開された映像や過去作からのファンもTarsier Studiosが得意とするジャンルが新作としてそのままプレイできることを期待していたし、まさに期待通りのゲームに仕上がっている。一方で、「それならば『リトルナイトメア』とどう違うんだ」と思う人もいるだろう。そんな疑問に本稿は答える。
『REANIMAL』では、主人公は姉と弟の二人。姉弟が故郷の島に残された友人らを助け出しつつ、巨人や化け物から逃げつつ島からの脱出を目指す。本作は二人プレイに対応しており、1Pが弟、2Pが姉を操作。一人プレイの場合は1Pの弟のみ操作、2Pの姉はAIで制御される。
筆者は今回のレビューにあたっては一人プレイのみ実施したが、弟と姉のどちらを操作するかでゲームプレイに差はほとんど生じない(弟と姉で異なる能力を持つとか、そういったアクションや操作性の違いはない)。ビデオゲームにおいて二人プレイに対応したゲームを一人で遊ぶとさまざまな齟齬によって不完全な体験だと感じてしまう事故が往々にしてありがち。しかし、本作においてはそういった不完全さを感じることはなく純粋に一人プレイ用のゲームとして気おくれなく楽しめるので、ソロプレイ派の人も安心だ。
以降、Tarsier Studios過去作、とくに『リトルナイトメア』との違いという観点を軸に、ゲームプレイを紹介していこう。
Tarsier Studios過去作との違い
・より立体的になった空間とカメラワーク
Tarsier Studios過去作のプレイヤーがまっさきに驚くのは、『REANIMAL』の空間とカメラワークが立体的なことだろう。
先述の通り、Tarsier Studiosの過去作は「奥行きのある横スクロール」だった。横スクロールはビデオゲームの世界で40年以上にわたって使われている形態であり、「左から右へ進む」ことさえすれば、誰でも迷わずプレイできるシンプルさが強みだ。『リトルナイトメア』は横だけでない奥行きがあるものの、簡単な操作で本格な恐怖体験ができるのがウリだった。
一方で『REANIMAL』は立体的になったが、過去作同様のプレイしやすさを維持することに成功している。一見当たり前のように受け取ってしまう快適さは、開発陣の技術と設計による丁寧な誘導のたまものだ。立体的なゲームにありがちなミスは「どこに行けばいいのかわからない」という状況である。特に3DCG黎明期によく見られた課題だが、わりかし現代でも陥りがち。“できる3Dゲーム”は行先の誘導を(プレイヤーに意識させないよう)うまくやっている。
『REANIMAL』は暗闇と光のゲームである。つまり、画面が暗ければプレイヤーを自然と明るいところに誘い出すことができる。暗闇に放り出された人間が光を目指すのは、生物としての本能。『REANIMAL』は開発陣のアートの強さもあいまって、光と闇を用いた絵作りが印象に残りやすく、何気なく撮影したスクリーンショットが絵画のようなオーラを放ってくる。

また、『REANIMAL』ではプレイヤーに対して「助けるべきキャラクター」を演出としてかなりの頻度で見せてくる。先述のように、横スクロールのゲームは特にプレイヤーに目的意識や誘導がなくても「とりあえず右に行けば何かが起こる」とモチベーションを維持させやすい。ところが立体的なゲームでは空間にも目的意識としても何かしら誘導を与えないとモチベーションが落ちやすい。画面が真っ暗闇であれば、なおさらだ。
とはいえ、救出対象となるキャラクターを出せば「とりあえずあの位置に向かえばいいんだな」とわかる。真っ暗闇の空間でいかにプレイヤーを迷わせないかということに常に意識が向けられているので、意外と迷わないのが『REANIMAL』なのだ。

なお、過去作の主人公の目的は「脱出」だったのに対して、本作の目的は「救出」だという違いもある。そもそもこのゲームの目的の違いそのものが空間設計に由来する可能性もあるだろう。本質的に立体的な空間・演出と逃走劇のゲームを両立するのはとても難しいからだ。実際、『REANIMAL』でも「バケモノから逃走する」というシーンでは、空間を遠く広くみる俯瞰視点(上からも横からも……)、あるいは画面の奥から手前に逃げるような視点が中心となっている。
先述したとおり、Tarsier Studiosは暗闇のゲームとして本作をまとめあげている。その出来栄えからは、光と闇を誘導に用いる名手であることを感じさせる。とくに光による誘導と、Tarsier Studiosお得意の構図の良さが相まって、映える誘導と景色になっている。

それ以外にも、誘導だけでない大事な用途として「絵力の強さ」がある。横スクロールの視点だけでは作れなかったであろう力強いロケーションがいくつもあり、おそらくTarsier Studiosが新規IPとしてやりたかったことなのだろう。

・テーマがより幅広く、よりアグレッシブに。でも怖い
Tarsier Studiosの過去作はゲームプレイやビジュアルで「巨人に追いかけられる小人」という印象、つまり「狩人と獲物」や「大人と子供」、「強者と弱者」という対比の印象が強く残るものだった。『REANIMAL』にもそういった対比は引き継がれているが、筆者としてはそれ以上に「これまでの枠にとらわれない、新しいことをやっているな」「なんなら主人公たちけっこうアグレッシブだな」という感想を抱いた。
何度か述べているように、本作の主人公たちの目的は脱出ではなく救出である。そのため、主人公たちは仲間を救出するために対抗手段を選ばない節がある。怪異をバールで殴り、銃を撃ち、銛で機雷を爆発させる。『リトルナイトメア2』にもハンマーを持ってザコ敵と戦うパートはあるが、それの頻度や強烈さがもっと増したような印象を受けるだろう。ゲームプレイに出てくるギミックだけでなく、カメラワークや空間が立体になったことでよりスリリングでアクション映画のようなダイナミックなシーンが登場する。
では、主人公たちが過去作よりアグレッシブになったことで怖さが薄れたのかというと、そんなことはない。これまでよりもっとスケールのデカい怪異・バケモノが襲い掛かってくるからである。とくに発売前に注目を集めた螺旋階段を駆け上がるシーンは空間とカメラワークが立体化した本作を象徴するシーケンスであり、これ以外の場所にもスケールもスペクタクルもマシマシのシーンがさまざま出てくる。筆者は特に終盤の展開には「Taesier Studiosのホラーゲームで、ここまでやっていいのか!?」と驚いた。
なお、本作は一部シーンで登場キャラクターたちがセリフをしゃべることがある。過去作はキャラクターがセリフをしゃべる場面が一つもなかったのでこれにはかなり驚いたが、ほとんど短いセリフが何度か出てくる程度なので「喋りによって謎めいた雰囲気が失われた」ということもない。


総評
『REANIMAL』はTarsier Studiosの過去作が作り出してきた「ビジュアルがよく、初心者でもとっつきやすいホラーゲーム」というよい側面を完璧に維持しつつ、空間やカメラワークの立体化、テーマのより多様さによってマンネリに陥ることなく新しい一歩を踏み出した、よい意味での精神的続編だ。アクションの味付けが強くなっているが、ホラーの領域を踏み越えない塩梅。Tarsier Studiosの過去作が好きだった人には間違いなくオススメの一本だ。
なお、本記事ではNintendo Switch 2版でプレイおよびスクリーンショットの撮影をおこなった。みなさまはそのことに気づかれただろうか。Nintendo Switch 2でもプレイ・グラフィックがまったく遜色なく仕上げられていることも本作の特長の一つだ。おすそわけ通信での2人プレイにも期待できるだろう。
『REANIMAL』はPC(Steam/Epic Gamesストア/GOG.com)/Nintendo Switch 2/PS5/Xbox Series X|S向けに、2月13日リリース予定だ。
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