アクションADV『RE5734L3R』が復活 ドットで描かれる至高のサイバーパンク世界

ロシアのインディーデベロッパーWinged Doomは、開発中止となったタイトル『Stealer』を『RE5734L3R』として再発表した。『Stealer』は2012年に正式発表されたアクションアドベンチャーゲームだ。2Dドットビジュアルで描かれた見事なSFワールドが注目を集め、デビュートレイラーはYouTubeで12万回再生を記録した。2013年にWinged Doomが開発中止が告げ、大手をふくむ海外メディアらが期待作の消失を報じていた。

 


サイバーパンク2Dアクションの期待作、復活

 

開発のキャンセルを報告したあとも、Winged DoomはFacebookなどで定期的にコメントを残していた。12月3日に公式ページにgifイメージを公開、その翌日にゲームトレイラー公式サイトが披露された。ゲーム名が『Stealer』から『RE5734L3R』へと変更されていることも確認できる。

『RE5734L3R』の舞台となるのは、歴史的に人間が存在していたことが確認されていない世界だ。一方で、一部のロボットのアナトミーやアルファベット、アーキテクトの類が、かつて人間が存在していたことを示唆している。プレイヤーは変わり者のロボット5734L3Rを操作して、非常に重要とされる「1 M34N 5734L」なるものを盗みださなければならない。

ゲームはサイバーパンクとレトロゲームのファンなら垂涎ものの世界観が特徴だ。Winged DoomはSFの空気感や探索シーンにフォーカスしている。トレイラーでも確認できるシネマティックシーンや世界描写が魅力である。ゲームプレイには重きを置いていない。今年8月、彼らは「ゲームプレイがないというゲームアイディアをどう感じる?探索できるワールドだけなんだ。だがこのワールドは息づいていて、彼は行動する」と伝えていた。とはいえ、ステルスアクションやパズル、ソーシャルチップのハッキングによるコミュニケーション能力の強化などが『RE5734L3R』には存在しており、探索だけのゲームというわけではない。

公開された公式サイトのページ下部では、4000ドルを募るクラウドファンディングが実施されている。あくまで開発サポートを目的とした完全なる寄付であり、Kickstarterのようにストレッチゴールが存在したり、寄付したユーザーにアルファテストのような特典が提供されるわけではない。

Winged Doomが素晴らしいSF世界を構築するのに疑いはないが、不安な要素もある。今年夏にリリース予定で開発が進められていた『Betelgeuse』だ。『スマッシュTV』と『Binding of Isaac』をハイブリッドさせたような作品で、『RE5734L3R』と同じく重厚なサイバーパンク世界が魅力である。両作の開発が無事に進むことを願おう。

 

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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