人気インディーゲーム販売元Armor Games Studios、スタッフの半数が解雇されたとの報告。インディーパブリッシャーの厳しい状況続く


パブリッシャーのArmor Games Studiosにおいて8月1日、大きな人員削減がおこなわれたようだ。現時点で同社からは正式に発表されていないものの、解雇された元スタッフらがSNSを通じて報告している。

また本件を受けて、一部海外メディアはゲームパブリッシング部門としてのArmor Games Studiosが閉鎖された可能性があると報道。ただ、実際にはまだ存続している模様である。


Armor Games Studiosは、アメリカ・カリフォルニア州に拠点を置くArmor Gamesが2011年に設立した、同社のゲームパブリッシング部門だ。Armor Gamesは、FlashゲームをはじめとしたWebゲームの配布サイトを古くから運営していることでも知られる。Armor Games Studiosは、Flashゲームの移植・販売から始め、その後PC・コンソール向けインディーゲーム販売に乗り出した。

これまでに販売を担当した主なタイトルとしては、ネコ農業アドベンチャーゲーム『Snacko』や、カエル収集・農業シム『Kamaeru: カエルの楽園』、タイムループ系RPG『In Stars And Time』、メトロイドヴァニア・アクションゲーム『Islets』、クマのホテル経営ゲーム『Bear and Breakfast』、ポイント&クリック・サバイバルゲーム『Don’t Escape: 4 Days to Survive』、弾幕ボスバトルゲーム『ITTA』などが挙げられる。Steamユーザーレビューにて「圧倒的に好評」や「非常に好評」ステータスを獲得しているタイトルが多く、Armor Games Studiosは良質なインディーゲームを取り扱うパブリッシャーとして一定の地位を築いている。


そんななか、同社でシニアプロデューサーを務めたMichelle Lega氏が8月1日、レイオフ(一時解雇)されたと報告。また、マーケティングマネージャーのAriana Perry氏なども自身のレイオフについて明らかにしている。この時点ではレイオフの規模ははっきりしなかったが、Lega氏がパブリッシングチームごと雇いたいとする企業を求めるような投稿をしたことから、Armor Games Studiosが閉鎖された可能性があると一部海外メディアに報じられることとなった。

ただArmor Games StudiosのMichael Pollack氏によると、実際は閉鎖はされていないようだ。同氏によると、今回レイオフ対象となったのは4人とのこと。とはいえ8人いたスタッフの半数が解雇されたかたち。プロデューサーからマーケティング担当、リリースマネージャー、QA担当まで、幅広い職種の人材が同社を去ることとなった。


Armor Games Studiosから今後発売予定の作品としては、パズルアクションゲーム『Shift Legacy Collection』やタワーディフェンスゲーム『Defender’s Quest 2: Mists of Ruin』、RPG『Designated Demigod』、ポイント&クリック・アドベンチャーゲーム『Deep Sleep: Labyrinth of the Forsaken』などが控えている。これらの作品の開発元からは、Armor Games Studiosに対して不安を示すような声は今のところ聞かれず、また同社も通常どおりのSNS投稿をしていることから、今回のレイオフ後も運営は継続されるようだ。

インディーゲームパブリッシャーにおけるレイオフというと、先月7月のHumble Gamesの例が記憶に新しい。同社は、インディーゲーム販売は現在厳しい経済状況にあるとして事業再編を実施。レイオフ対象となった元スタッフや一部報道によると、同社スタッフ全員が解雇され、今後の運営は外部企業の助けを借りるという(関連記事)。Armor Games Studiosも経済的に難しい状況にあったものと推測される。

Humble Gamesもまた人気インディーゲームを多数取り扱っていることで知られるが、それでも大規模なレイオフが実施されたことで、業界内には大きな衝撃が走った。今回のArmor Games Studiosにおけるレイオフは、それに続く動きとして閉鎖の可能性まで報じられたものの、当面は残されたスタッフによって運営が続けられていく模様である。