PS5/PC向け注目作『Phantom Blade Zero』開発元、スタッフが“誰もXboxを求めてない”と語ったとの報道に反応。スタジオの意見じゃないし、どのプラットフォームも除外はしていない


デベロッパーのS-GAMEは8月5日、現在開発中のPS5/PC向けアクションゲーム『Phantom Blade Zero』に関して声明を発表した。

一部メディアでは、先月中国で開催されたイベント「ChinaJoy 2024」において、同スタジオの従業員が取材に対し「誰もXboxを必要としていない」といった趣旨のコメントをしたと報じられている。声明にてS-GAMEは、その発言はスタジオの立場を代表したものではないとしている。


『Phantom Blade Zero』は、中国拳法やオカルト、スチームパンクなどの要素をもつカンフーパンク・アクションゲームだ。エリートアサシンである主人公は、所属する組織の家長が殺され、その犯人に仕立て上げられる。彼は真犯人捜索の過程で重傷を負い、一命を取り留めたものの、治療の効果は66日経つと失われてしまうため、時間切れになる前に事件の黒幕全員を探し出すことを目指す。

開発元S-GAMEは中国に拠点を置くインディースタジオで、本作は2023年5月にPS5/PC向けとして発表。その後世界各地のゲームイベントを巡り、先月には中国のChinaJoy 2024にも出展された。同イベントにて本作は、PlayStationブース内でプレイアブル出展されていたことから、本作はPS5独占タイトルなのかと一部で混乱があった模様。そこで現地メディアが取材をおこなったようだ。

取材に対しS-GAMEは、SIEとは密接に協力し開発やPR面でのサポートを受けているとしつつ、独占契約は結んでいないと明確化。自らの判断で、『Phantom Blade Zero』のPS5とPC向けのリリースを決めたという。また同スタジオの匿名の従業員は、Xbox版をリリースしない理由として、アジア地域でXboxはポピュラーではないとし「誰もXboxに興味を示していない(Xbox无人问津)」とコメント。加えて、マイクロソフトのエコシステムが非常に複雑で、同プラットフォーム向けの開発が困難であるとも述べたとのこと(腾讯新闻)。

この中国での報道は、特にXboxに関するコメント部分ついて引用され、他国メディアでも報じられることに。一部では、「誰もこのプラットフォームを必要としていない(nobody needs this platform)」といったように訳されて報じられており、刺激的なコメントだと受け止められたようだ。結果として、その二次情報が広く拡散されることに。これを受けて開発元S-GAMEは8月5日、本作の公式Xアカウントを通じて声明を発表した。

同スタジオは、匿名従業員によるChinaJoy 2024でのコメント内容について、S-GAMEの価値や文化を反映したものではないと指摘。同スタジオとしては、本作の対応プラットフォームについては何も除外していないとし、(PS5/PC版の)発売時および将来に向けて、可能な限り多くのプレイヤーに楽しんでもらえるように取り組んでいるとした。


SIEは中国において、有望な開発チームを発掘・育成する「China Hero Project」を展開しており、マイクロソフトもまた専門チームを現地に組織してサポートを提供しているとされる。ただ近年は、同国発の大型タイトルはPS5(およびPCやモバイル)版が優先されてリリースされる例が多い印象。その背景のひとつには、S-GAME従業員も述べたという、アジア地域でXboxがあまりポピュラーでないことがあるのかもしれない。

ただS-GAMEとしては、SIEと独占契約を結んでいない以上は、『Phantom Blade Zero』の将来的なXbox版のリリースの可能性を、今あえて排除する理由はないだろう。そうしたなかで、同スタジオが「Xboxは不要」というスタンスでいるかのようなかたちで従業員のコメントが報じられ、今回慌てて声明を出したようだ。

『Phantom Blade Zero』は、PS5/PC(Steam/Epic Gamesストア)向けに開発中。発売時期は未定だ。開発元は、本作のイベント出展を今後も計画しており、9月には東京ゲームショウにて試遊できる予定となっている。