ドイツのインディーデベロッパーであるKING Art Gamesは11月3日、二足歩行型ロボットの技術が発展した第一次世界大戦後の世界を描くRTS(リアルタイムストラテジー)『Iron Harvest』を正式発表した。対象プラットフォームはPCおよびPlayStation 4/Xbox One。まだ開発は初期段階であり、発売予定は2018年となっている。
タイトルの『Iron Harvest』は直訳すれば「鉄の収穫」を意味しているが、これは実際の第一次世界大戦後に行われていた習慣が由来となっている。大戦で使われた軍事兵器、有刺鉄線、重火器、りゅう散弾、不発弾などは終戦後も回収されずに残されたままであった。ヨーロッパの農村地帯ではこうした鉄の塊が、畑を耕す最中に山となって収穫されたことから、「Iron Harvest」と呼ばれるようになった。特にフランスとベルギー北部での収穫量が多かったという。
本作の舞台となるのは、第一次世界大戦が終わって間もないフィクション上の1920年代ヨーロッパ。近代化の波により人々と自然との調和が乱れはじめた時代だ。テクノロジー、鉄、そしてエンジンの力に魅了された人々は二足歩行型ロボットを発明し、世界大戦時には戦闘兵器として戦場の前線に送り込まれた。終戦後には人々の日常生活に役立つよう、役割を変えて活用され続けている。
この独自の時代設定は、本作のコンセプトアートを担当しているJakob Różalski氏の作品群が元になっている。彼のコンセプトアートの総称は「1920+」と名付けられており、印象派と写実主義をミックスした画風は『Iron Harvest』の発表前から注目を集めていた。Różalski氏はポーランド出身であり、本作にインスピレーションを与えたのも、自国にとって歴史上重要な意味を持つ「ポーランド・ソビエト戦争」および1920年の「ワルシャワの戦い」だという。田園地帯、機甲部隊、そして巨大メカにあふれたRóżalski氏の作品はこちらから確認できる。
本作で登場するのはフィクション上の仮想国家ではあるが、その設定はどれも耳にしたことがあるものばかり。まず「Saxony帝国」は産業革命を経て技術の発展したヨーロッパ西部の大国である。強力な軍事力を有しているが、第一次世界大戦後に他国と締結した条約は「Saxony帝国」にとって不利な条件ばかり。譲歩的な外交政策を続ける政府に苛立った富裕層からは反乱を要請する声がとどろき始めている。
東の大国「Rusviet」は長い戦争により疲弊してしまった。敗戦による影響で内政は荒れ、独裁色の強いリーダーが先頭に立った革命の火花が散ろうとしている。農業が盛んな「Polania共和国」は「Saxony帝国」と「Rusviet」に挟まれており、彼らから領土を守るためにロボットを駆使して軍備の近代化を図ろうとしている。どの国も一触即発の危機を抱えているが、彼らにとって脅威となるのは他国だけではない。正体不明の組織が欧州の弱体化に拍車をかけることで、世界を再び戦火の渦に巻き込もうとしているのだ。
この第一次世界大戦後の鬱屈とした世界観と、スチームパンク風の巨大メカを組み合わせた本作はまるで『Battlefield 1』と『Titanfall 2』を掛け合わせたようだが、ゲームプレイは『Company of Heroes』や『Men of War』といったRTSシリーズを引き継ぐスタイルになるという。プレイヤーが指揮を執るのは巨大メカと兵士たちで構成された分隊。戦場は広いサンドボックス型のマップであり、ジャンルは違うがターン制ストラテジー『XCOM』シリーズのような遮蔽物を使ったカバーや環境破壊要素もあるようだ。
『Iron Harvest』の開発を担当しているKING Art Gamesは、過去に『Battle Worlds: Kronos』『The Book of Unwritten Tales 2』『The Dwarves』という3つの作品でKickstarterでのクラウドファンディングに成功している。KING Art GamesとRóżalski氏のTwitter上のやりとりを見る限り、『Iron Harvest』についてもKickstarterでのクラウドファンディングを検討しているようだ。リリース時期はまだまだ先だが、KING Art GamesはFacebookの公式アカウントで最新情報を発信しているため、この鉄とロマンにあふれた作品に心を惹かれた方はフォローしておこう。