海外のゲーム実況系YouTuberとして最大の人気を誇るスター「PewDiePie」が、2014年に9億円(6370万スウェーデンクローナ)を超える収益をあげたことを明らかにした。海外メディアBBCやスウェーデンの地元メディアが報じている。
25歳のスターに集まる“動画で稼ぐことへの批判”
PewDiePieの本名はFelix Kjellberg氏、25歳のスウェーデン人だ。ビデオゲームをプレイし、そのリアクションを収録したゲーム実況動画(Let’s Play)をYouTubeに公開し、広告収入を得ている。彼のYouTubeチャンネルには3700万人のフォロワーが存在し、どんなプレイ動画でも200万回から400万回ほどの再生回数は記録しており、数千万回を打ち立てることも珍しくない。Kjellberg氏は2013年に海外フォーラムRedditで400万ドルほど(約4億8000万円)を稼いだと伝えており、2014年の収益はその約2倍に当たる。彼の影響力はそこらのメディアや有名人よりも凄まじく、実際に彼が2010年にリリースされた『Skate 3』の実況動画を公開すると、同作がUKチャートのトップ20位にランクインし、パブリッシャーがゲームを増産したとの逸話も残っている。
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しかし賞賛の裏には必ず批判や妬みも発生するものだ。自身が2014年に約9億円を稼いだとBBCに対して伝えると、一部の人々は衝撃を受け、さらに一部の人々は激しい怒りすら覚えていたとKjellberg氏は語っている。Kjellberg氏は「お金について話そう(Lets Talk About Money)」というタイトルの動画を投稿し、「ここ5年間、動画を公開するなかで、お金というのは個人的に避けてきたトピックだ」とコメント。こういった“動画で稼ぐ”ことへの批判に対して初めて言及した。
重要なのはお金ではなく動画を撮ること
Kjellberg氏は続けて「なぜなら誰にとっても重大なものではないと思うからだ。僕はただ面白い動画を撮りたいだけなんだ。ただ勘違いしないでくれよ。お金は嫌いじゃない。お金が自分にとって大事ではないというふりをするつもりはないよ、誰にとっても大事なものだろう」と発言している。氏によれば、大学に入り始めたころには学費のローンが存在し、ゲームプレイを録画するコンピューターすら所持していなかったという。だがKjellberg氏は最終的に大学を辞め、ホットドッグスタンドで働きながら、自身が好きな実況動画の撮影に専念できるYouTuberという道を選んだ。5年前のその一歩が、最終的に数億円をも稼ぎだすスターを生み出した。
座って叫ぶだけの動画がなぜ数百万人に見られるのか。そこには動画実況者としてのKjellberg氏のパーソナリティやコミュニティへの気遣い、あるいは収録技術や編集能力があるのは間違いないだろう。実況動画が誕生してから何年かが経過したいま、人気実況者や人気YouTuberの後を追って動画を公開し、人気も出ずに無残に消えてゆく人を何人も見ることができる。ただ座って叫ぶだけでこれほどの大成功を収めることができないのは、すでに証明されているといえるはずだ。
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Kjellberg氏は「僕のことを嫌いな人たちが嫌味を言うのは理解しているけど、お金は君を幸せにしないよ。僕はいま、5年前と同じぐらい幸せなんだ」とも伝えている。Kjellberg氏は稼いだ収益の一部をチャリティへと寄付しており、動画内での発言によればその額は100万ドルへ達しているという。
当初はグレーゾーンのあいだを行き来していたゲーム実況動画も、現在はゲーム業界が徐々に受け入れつつある状況だ。YouTubeには2013年末よりコンテンツID機能が搭載されており、パブリッシャーの許可無く投稿された映像は削除される可能性がある。この機能が搭載された際、Blizzard EntertainmentやUbisoftおよびカプコンは、申請さえすれば動画投稿を許可するとの意向を示した。