ビデオゲームの販売モデルは多岐にわたる。昔ながらのパッケージ販売からダウンロード販売、拡張コンテンツやシーズンパスの配信などだ。無料でゲームをプレイし、追加要素で支払を行うFree-to-Playも馴染みのあるモデルとなってきた。そんな中、海外のインディーデベロッパーたちが"Art to Play"というユニークな方法でゲームを販売している。ユーザーはお金を支払う代わりに、心を込めたファンアート1枚を送ることでゲームを購入できるのだ。
ファンアート1枚でゲーム購入
ファンアートで購入できるのは、インディーゲーム開発者Eric Hermit氏のゲーム『Earthtongue』だ。本作は生態系シミュレーションであり、菌と虫にまみれた、太陽の光が届かない世界が舞台である。プレイヤーは世界の微妙なバランスを調整し、自分の思い通りの生態系を築いてゆく。ドットで描かれた陰鬱ながらもどこか可愛らしいビジュアルとビットサウンドが魅力の作品である。
同作はPayPalを通じて4ドルにて購入できるが、変わりにファンアートで支払うこと(Pay by Art)もできる。絵のクオリティは問わないが、最低でも1時間半をかけて描くこと、『Earthtongue』についての作品であることなどが条件だ。自作した歌なども歓迎しており、"Art"であれば構わないようだ。
たとえばRiot Gamesは『League of Legends』でファンによる創作物のコンテストを定期的に開催しており、優秀作品を描いたユーザーにはコンテンツやゲーム内ポイントを提供している。だが"Art to Play"はさらに独特だ。わずか4ドルとはいえ、どんなクオリティのものであっても、ゲーム自体を購入できてしまう。Hermit氏はさらに、描かれたファンアートをソーシャルメディア上で公開することを望んでいる。氏が本作で成功するかはまだわからないが、ファンが描いた作品と引き換えにプロモーション効果を狙う手法は特徴的だ。
この"Art to Play"はEric Hermit氏が始めたものではない。『Deep Under the Sky』の開発者Colin Northway氏が実施した販売モデルだ。Northway氏も1時間半以上をかけて製作したファンアートやストーリーを募集しており、実際にクールな数点のイメージがファンから送られている。
コンソールなどの複数プラットフォームや多彩な決済方式でゲームを販売できず、コストのかかる大規模なプロモーションを打てない小さなインディーデベロッパーにとって、こういった話題性を見込んだユニークな決済方法は一つの選択肢となっている。