SCEと上田文人氏による特許登録が発見される。 『人喰いの大鷲トリコ』関連か

海外の有名フォーラムNeoGAFで、米国特許商標庁(USPTO)から5つの『人喰いの大鷲トリコ』関連とみられる商標についての投稿があった。

E3 2009での発表から5年以上が経過するなか、いまだ『人喰いの大鷲トリコ』発売の見通しは立っていない。ゲーム内容の詳細に関してもまだ謎が多い状況だが、SCEと本作のプロジェクトリーダー上田文人名義で取得された複数の特許が発見され、同作のヒントになるのではないかと注目を集めている。

海外の有名フォーラムNeoGAFで、米国特許商標庁(USPTO)から5つの『人喰いの大鷲トリコ』関連とみられる商標についての投稿があった。それぞれ代理人にSCE、そして発明者に上田文人氏らの名が記されている。USPTOのアプリケーション部門検索ページから5つの特許を確認できるほか(12345)、国内の特許検索ページでも同内容とみられる特許が登録されている。発明者「上田文人」の検索などで閲覧できる。

国内ではこの5つの特許は2011年に申請され2013年に公開されており、3つが「オブジェクト制御プログラム、オブジェクト制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、オブジェクト制御装置、オブジェクト制御方法」、2つが「画像生成装置、画像生成方法、プログラム及び情報記憶媒体」と名づけられていた。同じ名ではあるがプログラムの詳細はそれぞれ異なり、国内の特許ページに掲載された"課題(発明したアプリケーションで解決すべき問題や状況を記している)"の欄では以下のように記されている。


  • 「仮想空間においてキャラクターを興味対象に向かって移動する場合において、興味対象の方向を向きつつ移動させたい場合がある」
  • 「興味対象の種類や当該興味対象に対して行わせる動作や障害物等の位置等に応じて、当該興味対象に対する目的地を設定する」
  • 「第1のオブジェクトから放たれたアイテムが第2のオブジェクトに衝突した場合、第2のオブジェクトはいずれのオブジェクトから放たれたアイテムは判別できない」
  • 「物体の状態の変化に応じて柔軟に物体の動作を表現することのできる技術を提供すること」
  • 「あるオブジェクトの表面に他のオブジェクトが接触する場合に、前者のオブジェクトの自然なたるみを表現する技術を提供すること」

この特許が『人喰いの大鷲トリコ』関連であるかは明記されておらず、また現在の開発でもこれらが取り入れられているかは不明なのだが、それでも注目すべき点は多い。とくに「オブジェクト制御プログラム~」にあたる前者3つのアプリケーション特許では、少年が「大鷲トリコ」をどのようにあやつるのかが推測できる。これら特許が申請された2011年の開発段階では、オブジェクトや対象にプレイヤーが干渉することで、大鷲トリコの興味をひき行動を起こさせるデザインが検討されていたのかもしれない。

 

『ICO』は「手をにぎる」、『ワンダと巨像』は「つかんでのぼる」と、各作品のテーマにそったメインのメカニックを用意してきた上田氏。『人喰いの大鷲トリコ』では「興味をひく」ことが主題だったのだろうか。
『ICO』は「手をにぎる」、『ワンダと巨像』は「つかんでのぼる」と、各作品のテーマにそったメインのメカニックを用意してきた上田氏。『人喰いの大鷲トリコ』では「興味をひく」ことが主題だったのだろうか。

『人喰いの大鷲トリコ』はE3 2009にて当時ローンチから3年が経過していたPS3の目玉タイトルとして発表されたタイトルだ。『ICO』や『ワンダと巨像』の上田文人氏が開発を指揮していたが、のちに延期が発表され発売日未定となった。2011年に上田文人氏はSCEから退社し、フリーランス契約で同作品に関わっている。しかし発売時期や、現在もPS3が対象ハードであるのかなどはまだ明らかにされていない。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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