新たなゲーム会社「スタジオサザンカ」設立。元桜花スタジオ開発者が、「経営陣が開発者にビジネス責任を押し付けない」会社を目指して作った
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ゲームクリエイター小澤健司氏は、株式会社スタジオサザンカを設立したと発表した。会社は1月時点でできており、今回は公式サイト公開を含めた正式なお披露目になるという。小澤氏が代表取締役を務める。
小澤氏は、ゲームクリエイターだ。かつてバンダイナムコエンターテインメントやNetEase Gamesの桜花スタジオに所属。『聖剣伝説 VISIONS of MANA』の共同ディレクターに名を連ねている。プロデューサー経験が多く、中国在住期間も長かったことから、中国でのノウハウ・開発に知見がある。桜花スタジオは昨年をもって閉鎖したと見られ、小澤氏は新たなスタジオを立ち上げた。
ゲーム業界は今コロナ禍ほど元気はなく、新しい挑戦の難易度が高い時代。中国市場に強ければ、転職先も見つけやすいだろう。なぜ小澤氏はこのタイミングで新会社立ち上げを決めたのか。話を訊いた。
小澤氏が自身でゲーム会社を立ち上げた理由として、昨今のゲーム産業において「経営層がプロジェクトの責任をとらない事例」を目撃し、それに疑問をもっていることをあげている。経営側は会社全体におけるプロジェクト承認や推進、あるいは投資等高度な判断をしており、その役割には理解を示す一方、経営判断のミスが起きた際に、経営者が「開発者をレイオフする」形で経営状態を改善しようとし、結果としてクリエイターだけが責任をとらされる。これは事業全体の判断を行っていない、個々人のクリエイターに対して責任を負わせすぎていると感じているという。
小澤氏は自身のキャリアやゲーム業界の昨今の事例を見るに、「経営側がクリエイターを守る必要」を強く感じているとのこと。経営側が開発にモチベーションを与えたり、あるいは心理的安全性を提供する。つまり、分離されがちな経営と開発が一体化された会社をするため会社を立ち上げたそうだ。小澤氏もまた、経営判断でプロジェクト失敗した際には責任をとる覚悟をもっているとのこと。また経済的にもそうできるように進めていくそうだ。なお、スタジオサザンカは小澤氏による自己資本によるスタジオのようだ。
小澤氏はそのほかチームメンバーと、Unreal Engineを使って小規模な開発を進めていくとのこと。いずれはオリジナルのPC/コンソールタイトルを開発していくそうだ。小澤氏のスタジオは、どのように成長していくのだろうか。今後に期待したい。