『Overwatch』新ヒーローを含めた最新パッチを配信、ウルトゲージ仕様変更やキャラのバランス調整も
Blizzard Entertainment(以下、Blizzard)は19日、チーム対戦型FPS『Overwatch』(オーバーウォッチ)の最新アップデートを、PC向けに配信した。主な内容は、新ヒーロー「Ana」の登場や、「D.Va」をはじめ多くのキャラクターに関する大幅なバランス調整、アルティメットゲージやランクマッチの仕様変更。先日、パブリックテスト環境(以下、PTR=Public Test Region)にて適用されていた変更内容そのままだ。なお、PlayStation 4とXbox Oneに関しては、変更内容の多くが次回パッチにて実装されるとのこと。
新ヒーローは死んだと思われていた「ファラ」の母親
『Overwatch』は、6人ずつのチームに分かれて計12人でオンライン対戦が楽しめる一人称視点のMOBA系アクション・シューティング。BlizzardがWindows/PlayStation 4/Xbox One向けにリリースした十数年ぶりの完全新規タイトルである。未来の地球を舞台に、多種多様な武器や装備、特殊能力を操るヒーローが登場するのが特徴で、キャラクターによって得意分野や役割分担が大きく異なる。先日、最新アップデート内容をいち早くテストできる専用サーバー、PTRが解禁されたばかり。同時に、これまでゲームマップに散りばめられた複数のヒントから存在が囁かれていた「Ana」や、以前ゲームディレクターのJeff Kaplan氏がインタビューで示唆していた「D.Va」の大幅調整など、今回の変更内容が公開されていた。
新ヒーロー「Ana Amari」は、エジプト・カイロを拠点に活動する60歳の女性バウンティハンター。その正体はオーバーウォッチ創設メンバーの一人にして、かつては世界一とまで謳われた凄腕のスナイパーだ。「Jack Morrison」司令官(後のソルジャー76)の右腕として組織に貢献し続け、50代を過ぎても自ら最前線で活躍していた。しかし、ある人質救出ミッションの最中にタロン社のエージェント「ウィドウメイカー」と対峙。狙撃対決の末、スコープ越しに右目を撃ち抜かれ致命傷を負ってしまう。一命を取り留めるものの、その後は人生の大半を戦場で過ごしてきた過去と決別し、穏やかな隠居生活を送っていた。そんな中、罪もない人々が脅威にさらされている現実から目を背けることができず、再び銃を手に立ち上がる。実は彼女こそが、過去の内乱で死んだと思われていた「ファラ」の母親である。右目を失っているため、右利きにも関わらず左目でスコープを覗きながら引き金を引くという、独特の射撃姿勢が特徴だ。娘が憧れた誇り高き戦士の眼光は、老いてなお鋭い。
そんな「Ana」は、特殊なダーツを撃ち出すプライマリウェポン「Biotic Rifle」と、敵を眠らせるサイドアーム「Sleep Dart」で戦うサポートヒーローだ。彼女のスナイパーライフルは、味方を回復するダーツと敵に継続ダメージを与えるダーツの2種類が撃ち分けられる。また、専用ガジェット「Biotic Grenade」は、範囲内の敵にダメージを与えると同時に、味方は回復してくれる。影響下にある味方に対して一定時間全ての回復効果を増幅させると共に、敵に対しては逆に全ての回復効果を無効化する。アルティメットアビリティは「Nano Boost」。味方単体の移動速度と攻撃力を一時的に増幅させ、同時に敵からのダメージも軽減できるという優れものだ。CC(クラウドコントロール)とヒーラーを兼任できる貴重なキャラクターといえるだろう。
ウルトゲージ仕様変更に伴い多くのキャラを調整
これまでは主に時間経過や敵への攻撃で蓄積していたアルティメットゲージが、自分を回復するスキルの使用でもチャージできるようになった。それに伴い、対象キャラクターにおけるアルティメットアビリティの使用コストが、軒並み増加している。「バスティオン」「ルシオ」「ソルジャー76」は10パーセント、「ロードホッグ」にいたっては45パーセント増だ。発動までにより多くのゲージが必要になったとはいえ、回復する度にチャージしていく効果は大きいだろう。
キャラクターのバランス調整では、特に「D.Va」「マーシー」「ゼニヤッタ」の強化が著しい。「D.Va」に関する大きな変更点は、「ディフェンス・マトリックス」のクールダウン時間が10秒から1秒に短縮されたこと。これに伴い、新たにリソースメーターが追加された。シールド展開中に減少し、未使用の際にリチャージされる仕組みだ。空の状態からフル充填に要する時間は10秒。最大で4秒間まで展開できる。加えて、アルティメットアビリティの「自爆」が強化された。使用コストが15パーセント減ったほか、起爆までの時間が4秒から3秒に短縮。また、「D.Va」本人は爆発のダメージを受けない。これで自分も巻き込まれて死亡してしまうことがなくなった。
次に、人気ナンバーワンのサポート役「マーシー」の調整に注目したい。「リザレクト」のチャージコストが30パーセント引き上げられる一方で、発動中に自身が硬直しなくなった。それだけでなく、「ガーディアン・エンジェル」のクールダウンが即座にリセットされる。混戦状態の前線に飛び込んで味方を蘇生しても、自分を犠牲にすることなく退避できる確率が高くなったということだ。加えて、「カデュケウス・スタッフ」のダメージブースト率が3割から5割へ増加。その代わりに、複数人の「マーシー」で重ねがけしても効果が上乗せされることがなくなった。「マーシー」の活躍シーンがさらに増えるのは間違いないだろう。
これまで不人気だった「ゼニヤッタ」にも脚光を浴びるチャンスが訪れた。ベースとなるシールドが50増加したほか、「調和のオーブ」「不和のオーブ」が今までの4倍速く飛ぶようになった。また、アルティメットアビリティの「心頭滅却」は、発動時の移動速度が2倍に、毎秒ごとの回復量が200から300に増加した。ダウンサイドとしては、プライマリ武器のダメージ量が45から40に低下。その代わり、オルタナティブは35から40に増加している。このほか、前回のアップデートで大幅に弱体化された「マクリー」の有効射程距離が伸ばされ、多少の距離なら威力が減衰することがなくなった。一方、「ソルジャー76」の「ヘビー・パルス・ライフル」に関しては、射撃時に低下した集弾率が回復するまでに少しの時間がかかるようになった。以前は瞬時に回復していたため、脅威の集弾率を誇っていたといえる。
最後に、ゲームプレイのルールにも若干の変化がみられる。勝敗を決する際のオーバータイムが20秒以上続いた場合、残り時間を示すフューズがより速く燃え尽きる仕様に。また、オーバータイム中は、プレイヤーがリスポーンに要する時間が2秒長くなる。また、ランクマッチにも大きな仕様変更がなされた。同じチーム内で複数人の同一キャラクターは選べなくなった。誰かがすでに選択したヒーローを、他のプレイヤーが重複してピックすることはできない。このほか、アップデートの内容はユーザーインターフェースやバグ修正と多岐にわたる。特にランクマッチにおけるドラフトルールが見直されたことで、プロシーンへの影響も顕著になるだろう。