『Overwatch』不動の強キャラだった「ゲンジ」がついに弱体化、猛者が使うと誰にも止められないため


Blizzard Entertainment(以下、Blizzard)は17日、チーム対戦型FPS『Overwatch』(オーバーウォッチ)の次回アップデート内容を、パブリックテスト環境(以下、PTR=Public Test Region)のパッチノートにて明らかにした。「ゼニヤッタ」や「マーシー」をはじめ、多くのキャラクターのバランスが見直されている中で、特に「ゲンジ」に大幅な弱体化が施されている。ベータテスト期間中に新ヒーローとして登場した「ゲンジ」は、これまでほとんど変更を加えられたことがないキャラクターの一人。強力な火力と機動力ゆえに使いこなすのが難しく、上級者向けのヒーローといえる。それだけに優れた使い手にわたると鬼に金棒であるとして、フォーラムサイトで弱体化を求める声が相次いでいた経緯がある。

 

最大の強みが封じられたサイボーグ忍者

『Overwatch』は、6人ずつのチームに分かれて計12人でオンライン対戦が楽しめる一人称視点のMOBA系アクション・シューティング。BlizzardがWindows/PlayStation 4/Xbox One向けにリリースした十数年ぶりの完全新規タイトルである。未来の地球を舞台に、多種多様な武器や装備、特殊能力を操るヒーローが登場するのが特徴で、キャラクターによって得意分野や役割分担が大きく異なる。先日には、ゲームバランスの大幅な見直しにより一度は弱体化されるも再び強化された「マクリー」が、「上手い人には強すぎた」としてまたもや弱体化を施されていた。また、正式ローンチ後初となる新キャラクター「アナ」に関しては、若干の火力不足を指摘されていたことから、連射速度・装弾数が強化されていた。

次回のアップデートで目立った調整が加えられるのは、「ゲンジ」のほかに「ゼニヤッタ」と「マーシー」。そのほかにも多くのキャラクターが見直されている。特筆すべきは、「ゲンジ」の「風斬り」と打撃攻撃を組み合わせたコンボが使えなくなった点だ。これまでは、打撃攻撃後のクールダウンを「風斬り」でキャンセルできる仕様であったため、目にも留まらぬ連撃が繰り出せた。一部では「ゲンジ」のアイデンティティとまで言われたコンボがついに封印された。また、「風斬り」のダッシュで「ウィドウメイカー」や「ジャンクラット」の設置トラップを破壊することもできなくなった。後者の「スティール・トラップ」に関しては、ダッシュで回避することも不可能に。加えて、アルティメットアビリティ「龍撃剣」の効果時間が8秒から6秒に短縮された。そのほか、2段ジャンプが壁登りでリセットされることもなくなる。

前回のアップデートで、必須キャラクターといっても過言ではないくらいに強化された「ゼニヤッタ」も、大幅な弱体化の対象だ。敵の被ダメージが増加する「不和のオーブ」の増加率が、50パーセントから30パーセントに減少。その代わりに、通常攻撃である「破壊のオーブ」の威力が40から46に強化された。特に「不和のオーブ」は、「ゼニヤッタ」が倒されない限り効果が持続するため、「ルシオ」の機動力バフと組み合わせて、特定のプレイヤーを確実に仕留めるカウンタープレイがあまりにも強力過ぎた。そのため、上級者同士の試合になると、ほぼ必須のキャラクターといえるほどの存在感を誇っていた。それに付随して、「ルシオ」の「アンプ・イット・アップ」による移動速度の上昇率も、100パーセントから70パーセントに見直されている。

こう見えて実はアラフォー
こう見えて実はアラフォー

人気のアラフォー女子「マーシー」は、ヒーラーとしての能力がより強力になった。「カデュケウス・スタッフ」の毎秒回復量が2割増加。「マーシー」は一度に単体の味方しか回復できないが、回復効率が良くなったことでより多くの味方をカバーできるようになった。また、アルティメットの「リザレクト」は、蘇生した味方の硬直時間が3秒から2.25秒に短縮された。些細な変化に思えて、蘇生後に「マーシー」が生き残れる可能性に大きく関わってくるため、決して無視できないバランス調整といえる。

このほか、「D.Va」の「ディフェンス・マトリックス」は、発動後からシールドが回復し始めるまでの時間が0.5秒から1秒に倍増。これまで、シールドを継続して展開するよりも、発動と解除を小刻みに繰り返す方が効果的だったため、チャージの仕様が見直されたようだ。「ハンゾー」は、弓を構えた状態における移動速度の減衰率が40パーセントから30パーセントに緩和。また、投射物の最大速度が3割増加した。「メイ」も若干ながら強化された。これまでアルティメットの「ブリザード」が敵のシールドを貫通できなかったため、比較的使いづらい立ち位置だったが、バリアの向こう側にも効果が及ぶようになった。その有効半径も8メートルから10メートルへ変更されている。「ロードホッグ」に関しては、命中した敵を近距離に引き寄せる「チェイン・フック」の挙動に修正が加わった。捕まったターゲットが引き寄せられる際、「ロードホッグ」の視線上にいなかった場合、フックが命中した瞬間の位置まで戻される。これは、壁などの遮蔽物の影響でターゲットが予想外の場所でリリースされる現象を防ぐための処置である。

最後に、「マクリー」のアルティメットの仕様が変更された。通常、「デッド・アイ」は敵をロックオンしてから撃つまでの間にゲージを半分、一斉射撃した後に残り半分を消費する。そのため、ロックオン中に技をキャンセルした場合、アルティメットゲージが半分残った状態で次の行動に移れるというメリットがあった。この仕様が、発動後は0.25秒間隔でゲージが減少するという仕組みに変更される。つまり、ロックオンに時間をかければかけるほど、キャンセル時のゲージ残量は少なくなるということだ。「マクリー」の“ハイヌーン”はただでさえ強力な技であるため、この仕様変更は極めてフェアな調整だといえるだろう。

なお、次回アップデートで、ランクマッチにおける格付けのスケールも、1から100のポイントで測られていた基準が、1から5000に変更される。また、「ダイアモンド」「マスター」「グランドマスター」ランクのプレイヤーは、7日間ランクマッチに参加しなかった場合、24時間毎に50ポイントずつ減点される。3000より下回ることはない。1試合でもプレイすれば不在期間はリセットされる。ちなみに、上位500人のプレイヤーに関しては、7日が経過した時点で直ちに500位以下に落とされる仕組みだ。