『Overwatch』煽りチャットを“痛い文章”に自動変換する新機能を実装、「お願いママに言わないで」


Blizzard Entertainment(以下、Blizzard)は、『Overwatch』(オーバーウォッチ)のチャット欄で試合に負けたチームに対する煽り文句として頻繁に使われる特定のフレーズを、発言者自身を卑下するランダムメッセージへ自動的に変換する新たなフィルターを導入した。最新のアップデート内容を一足先に体験できるパブリックテスト環境(以下、PTR=Public Test Region)にて、すでに実装されている。対戦ゲームにおいて、相手との実力差が大きいゲームで圧勝したプレイヤーが、弱者を見下すような表現で捨て台詞を残すことは決して珍しいことではないが、何よりフェアプレイとスポーツマン精神を重んじる同社のユニークな対応は、そんな殺伐とした雰囲気を斜め上の発想で吹き飛ばそうとしている。

 

ドヤ顔を黙らせる自虐ネタ

『Overwatch』は、6人ずつのチームに分かれて計12人でオンライン対戦が楽しめる一人称視点のMOBA系アクション・シューティング。BlizzardがWindows/PlayStation 4/Xbox One向けにリリースした十数年ぶりの完全新規タイトルである。未来の地球を舞台に、多種多様な武器や装備、特殊能力を操るヒーローが登場するのが特徴で、キャラクターによって得意分野や役割分担が大きく異なる。先日には、利用規約に違反する外部プログラムの使用により、永久追放されたチーターたちの断末魔の叫びが、ユーモラスなまでに支離滅裂であるとして、公式フォーラムを中心に話題をさらっていた。

今回、チャット欄で自動変換の対象になるフレーズは“gg ez”(“Good game. Easy”の略、“楽勝の試合をありがとう”というニュアンスで使われることが多い)。主にチーム間に実力差があり過ぎて早々に決着してしまった試合において、負けチームへの煽り文句として使用される。負け犬の遠吠え同様、勝負が決してもなお敗者をいたぶるプレイヤーほど滑稽なものはない。なお、主にFPSジャンルのゲームでは、倒れたプレイヤーの顔面に向かってしゃがみ動作を繰り返す“Teabagging”(男性の睾丸をティーバッグのように顔に押し当てるさまに由来した表現)も、コミュニティにおけるマナー違反としてたびたび問題視される。キルカメラを通して敗者に屈辱を与えようとする悪意に満ちた行為だからだ。もちろん、単なる“おふざけ”であり、規約違反には直接該当しないが、文化的および宗教的価値観の違いから深刻に憤慨するプレイヤーもいることを忘れてはいけない。

新フィルターはPTRですでに実装されている。チームメイトやグループメンバーのみに向けたチャットでは、これまでどおり“gg ez”と打ち込んでも何も起こらないが、対戦相手にも見える全体チャットで打ち込むと、勝ち誇った自分自身を卑下するような痛々しいメッセージに自動変換される。候補はランダムで決定されるが、「ボクとっても小さいの…… お願い抱っこして」「お寝んねの時間過ぎちゃった。お願いママには言わないで」「いつも情緒不安定な自分と闘っているんだ。そんな僕と遊んでくれてありがとう」「もっと良い人になろうとしているんだ。難しいけど頑張ってるんだよ」など、その内容はバリエーション豊かな上、とにかく自虐的。いいセンスだ。業界メディアEurogamerが、自社のYouTubeチャンネルにて検証動画を投稿している。ここまでユーモラスだと、全ての内容が見たくて思わず“gg ez”と連呼してしまいそうだ。