VRヘッドセットOculus Rift製品版の価格は”599ドル”、国内から購入すると10万円弱に。代表「この価格でも儲からない、ヤバいくらいに安い」

Oculus VR社は、VRヘッドセット「Oculus Rift」の製品版である「CV1」の予約販売をスタートした。価格は599ドルとなっており、国内からの購入時には関税や消費税込みで8万3800円、送料込みにて9万4600円となる。

Oculus VR社は、VRヘッドセット「Oculus Rift」の製品版である「CV1」の予約販売をスタートした。価格は599ドルとなっており、国内からの購入時には関税や消費税込みで8万3800円、送料込みにて9万4600円となる。支払いは予約購入時では無く、製品の出荷時に処理される見込み。初回分は3月28日に出荷され、記事執筆時点の1月7日午前7時に予約すると2016年5月の出荷分を受け取ることができる。

製品版「Oculus Rift」には、Rift本体と使用者の前面に配置する卓上センサー、さらにXbox Oneコントローラーに加え、シンプルな操作が可能な入力装置「Ocuus Remote」が収録されている。また宇宙を舞台にしたフライトシューティングゲーム『EVE: Valkyrie』と、3Dアクションゲーム『Lucky’s Tale』が無料で付属される。今回予約すれば、後日販売予定のVR操作コントローラー「Oculus Touch」の予約権も手に入る。

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「Oculus Remote」

開発者向けにリリースされてきた「Oculus Rift DK1」が300ドル、「Oculus Rift DK2」が350ドルであったことを考えると、製品版の価格はほぼ倍近いものとなっている。さらに製品版Oculus Riftを動作させるには、GTX 970やIntel i5-4590レベルのパーツを搭載したハイスペックなマシンが必要だ。国内で一からOculus Riftを使うための環境を構築しようとした場合、合計費用は20万円を下らないと見て間違いないだろう。

これから世代を重ねるごとにOculus Riftが低コスト化してゆくことは予想できるが、それでも”599ドル”は一般ユーザーからすればぎょっと目を張ってしまう価格設定だ。また海外メディアや公の場にて、製品版は300ドルから400ドル辺りで設定したいとの発言も何度かOculus VR社からあったため、Riftを知っていた人にとっても今回のニュースにはやや驚いたのではないだろうか。

この価格設定に関して、Oclus VR社の若きヘッドであるPalmer Luckey氏は、「何度も繰り返すが、Riftのハードウェアでは金は儲けられない。ハイエンドのVRは高価だが、Riftはヤバいくらいに安い」とツイートしている。またオーストラリアなど一部地域にてOculus Riftの価格が高く設定されている件については、関税や消費税が含まれているためだとした。また海外メディアPolygonのインタビューには、当初はOculus Rift DK2の改良版をリリースする予定だったものの、Facebookによる買収を経て価格ではなくいかにハイエンドかを重視していったことも明らかにされている。

開発キット時代から変わらず、今回の製品版Oculus Riftは開発者や商業用および一部のVR愛好家のものとなりそうだが、前述したように第2世代、第3世代が登場すればより低コスト化や小型化が望めるはずだ。第1世代がそのいしずえとなるようなハードウェアになれるのかが、今後の勝負どころとなるだろう。また2016年にはValeとHTCの「Vive」や、ソニーの「PlayStation VR」といったハイエンドVRヘッドセットの販売が予定されている。今回のOculus Riftの価格に対しどのような反応を示すのか、両ヘッドセットの今後の発表に注目が集まる。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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