サスペンスホラーADV『ファタモルガーナの館』、発売からかなり経ってるのにSteamで「1週間で1万本」売り上げる。かつては“月に70本”だったのに

本作は、セール期間中の1週間に1万本を売り上げたそうだ。しかも叩き売りじゃない。

デベロッパーNOVECTの代表・縹けいか氏は3月19日、ビジュアルノベルゲーム『ファタモルガーナの館』のPC(Steam)版について、先日実施されたセール期間中の1週間に1万本を売り上げたと報告した。同氏は驚きを伝えると共に、ファンに対し感謝の言葉を述べている。

本作は、呪われた館を舞台にする西洋浪漫サスペンスホラーゲームだ。記憶を失った主人公は館の女中に導かれ、さまざまな時代に起きた悲劇を目にすることに。そうして館に残された記憶を辿るなかで、館の謎が解明されていく。

*Nintendo Switch版のトレイラー

『ファタモルガーナの館』は、2012年にPC版がリリースされたのち、さまざまなプラットフォームへと移植。Steamでは2016年5月に配信され、英語にも対応した。開発元NOVECTの縹けいか氏によると、リリース当初のSteam版は月に70本ほどの売れ行きだったという。本作は多数の機種に移植され、メディアミックスもおこなわれる人気作であったが、Steamでは当時思うような成果が得られず苦心したようだ。

それから約9年が経った今年3月上旬、Steamにてビジュアルノベルゲームを対象にしたセール「ビジュアルノベルフェス」が開催。『VA-11 Hall-A』や『Coffee Talk』『Slay the Princess』などの人気作に混じり、『ファタモルガーナの館』もセールに参加した。すると本作は、セール期間中の1週間に1万本を売り上げたそうだ。

これを受けて縹けいか氏は、“月に70本のゲーム”が、数年かけて週に1万本も買ってもらえるゲームになったことに驚いているとコメント。そして、ユーザーが本作を情熱的に広めてくれたおかげだとして感謝の言葉を述べた。

本作はSteamのユーザーレビューにて、本稿執筆時点で約4500件のうち94%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得。かなり高い人気を誇っている。ただ、ストアページにてレビュー投稿の推移を見てみると、2016年のリリースから数年間は、好評ではあるものの投稿数としては少なかったことが分かる。そして2019年頃から徐々に増加していった。売れ行きも伸びていったものと想像される。

本作の人気拡大の背景はさまざまあるだろうが、大きな要因のひとつとしては対応言語の拡充が挙げられそうだ。本作のSteam版は日本語と英語に対応してリリースされ、その後中国語や韓国語、フランス語などに順次対応した。また、2019年以降には海外コンソール版が展開。レビュー集積サイトMetacriticにて、Nintendo Switch版がメタスコア96(100点満点)を獲得するなど高評価を得ており、本作の注目度がさらに高まっていったものと考えられる。縹けいか氏によると、ファンのクチコミも大きく寄与したようだ。

そうしてファンを着実に増やし、1週間に1万本を売り上げるまでに成長したのだろう。もちろん、ビジュアルノベルゲームファンが集うセールに参加したことも奏功したはず。といっても決して叩き売りされたわけではなく、プロダクトの評価やクチコミがあってこその力強い売れ行きだったということだ。ちなみに本作は2023年11月時点で、Steam版のみで売り上げ10万本を達成している。

なお『ファタモルガーナの館』においては、実写化プロジェクトが米国で現在進行中。先日3月14日に発表され、実は今回の売り上げの話題もこの時に公表されていたが、縹けいか氏はファンに改めて感謝を伝えたいとして、今回の投稿をおこなったとのこと。英語でも投稿されており、海外ファンから多くの反響を得ている。

『ファタモルガーナの館』は、PC(Steam/DLsite/GOG.com)向けに配信中。外伝などを収録したコンプリート版にあたるNintendo Switch/PS4版も発売されている。また開発元NOVECTとしては、完全新作となる推理アドベンチャーゲーム『プロジェクトコード名 “M”(仮題)』を現在開発中だ(関連記事)。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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