ジョークタイトル『NotGTAV』がStaemのストアページから抹消される、開発者は「NotDEAD」と再起目指す【UPDATE】

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【UPDATE 2015/7/10 15:00】: 開発元のNotGamesは、『NotGTAV』が近日中にもSteamのストアページにて再販されることを明らかにした。Valveから事情を聞いたNotGamesによれば、当初『NotGTAV』には著作権違反であるとしてDMCA侵害の申し立てがかけられており、そのためにSteam上から削除されたという。後にこれが虚偽の申し立てであると判明したと、NotGames側は伝えている。なお、『NotGTAV』がDMCA侵害によって削除されたあと、NotGamesは『NotDMCAV』なるタイトル名に代えて販売することを予告していた。


 

現地時間7月2日にSteamにて配信が開始されたジョークゲーム『NotGTAV』が、Steamのストアページ上から抹消された。Steamを運営するValveから現時点で理由は明らかにされていないが、開発NotGames LLPは「NotDead(死んでない)、チャンネルはそのまま」と伝えており、今後なんらかの形でリリースを続ける姿勢を見せている。

馬鹿げたパロディ

『NotGTAV(Not Great Traffic AdVenture)』はその名のとおり、Rockstar Gamesが2013年にリリースした『Grad Theft Auto V(GTA V)』ではないゲームタイトルだ。小学生が描いたようなグラフィック、酷いボイスアクトが満載のスネークゲームであり、プレイヤーはわけもわからないまま英国を探索してゆく。『GTA V』の名を借りたまったく別物のゲームという立ち位置で、2014年11月にiOS版とAndorido版が2.99ドルにて配信。前述のとおり今年7月2日にはSteamにてPC版がリリースされたが、わずか1週間で削除されることとなった。

『NotGTAV』の開発は1812年から始まっておりRockstarがアイディアを盗んだと意味不明の発言をしたり、Android向けの『NotGamerGate』なるタイトルを公式サイトに掲載するなど、とにかくNotGamesの発言と行動はすべてジョークまみれだ。『NotGTAV』がSteamから削除される直前には、「NotGTAV: Kickstarterはやらねーよアルバム」を正式発表し、2015年10月にDLCとしてリリースすると発表もしていた。またPC版『NotGTAV』にはSteamで1000件以上の好意的なレビューが寄せられており、Steamの新作セールスではトップチャートにもランクインしていた。

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おふざけに隠された真相

先週リリースを迎え一部メディアにて取り上げられた『NotGTAV』だが、一方で開発のNotGamesが「Peer Productions(ピアプロダクション)」と呼ばれる組織に収益を寄付していたことはご存知だろうか。彼らの公式サイトには「NotJoking」というセクションが存在し、そこでは『NotGTAV』がチャリティのために開発されていたことが明らかにされている。

ピアプロダクションは、若者たちが集まって演劇や映像作品を作るという学習プログラムだ。家庭内暴力や麻薬中毒、10代での妊娠などの社会問題をテーマにした作品を作り出し、それを学校の仲間たちに向けて公開してゆく。じつはNotGamesは、若きころにこのピアプロダクションに関わり影響を受けてきた人物たちで構成されている。今回、その恩返しのために『NotGTAV』を開発し、収益を寄付しようと考えたのだという。また、Peer Productionsの卒業生たちが、いかに「クリエイティブ」で「革新的」な仕事ができるかを示したかったとも伝えている。

『NotGTAV』がSteamから削除された理由は不明だが、本作のトレイラーにおいて本物の『GTAV』の映像を使用していたのではないかという嫌疑もかけられている。あるいは、iOS版やAndroid版が削除されていないことを考えると、『NotGTAV』はSteamで超えてはいけないパロディやジョークのラインを踏み越えてしまったのかもしれない。ただ、『NotGTAV』は単なる世界一くだらないパロディタイトルの1つであり、チャリティの話を抜きにしても、どこかその存在を「くだらないが悪くはない」と許せてしまえるのは自分だけだろうか。

 

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