『No Man’s Sky』開発者、ゲーム内容への理解を求める。「あなたの想像するようなゲームではないかもしれない」

ついに北米にてPS4版の販売が開始された『No Man’s Sky』。プレイヤーは宇宙船に乗り込み、広大な宇宙を漂い、気に入った惑星に上陸し資源を採掘し交易商人に売りつけ富を蓄えていく。時には原生生物や機械と一戦を交えるなど幅広い遊び方が可能だ。

ついに北米にてPlayStation 4版の販売が開始された『No Man’s Sky』。プレイヤーは宇宙船に乗り込み、広大な宇宙を漂い、気に入った惑星に上陸し資源を採掘し交易商人に売りつけ富を蓄えていく。時には原生生物や機械と一戦を交えるなど幅広い遊び方が可能だ。このようなスケールの大きなゲームが15人程度の開発スタジオから生まれるというのだから、注目されないわけがない。PlayStation 4版は10日には欧州でも発売を迎え、欧米のゲームコミュニティはすでにフィーバー状態。多くのプレイヤーが宇宙へ飛び立ちつつある。

記念すべき時を迎え、開発元であるHello Gamesは大忙しだ。彼らはDay Oneパッチをすでに完成させ、更なる追加アップデートへの取り組みを始めている。このDay Oneパッチは、かなり大規模なもので、宇宙の規模を拡大するほかにも、ゲームバランスの根本にも手が入っているようだ。先日お伝えしたレビュー用ROMが海外メディアに配られないという件に関してはこのパッチの影響が強いようで、パッチを実装していない状態でゲームを評価されることをHello Gamesが嫌がったとの見方が強い。

一方で、さまざまな訴訟やリークなど、トラブルによるメディア露出は多いものの、レビューを含めて“ゲーム体験や感想”に関する情報が充実しているとは言いがたい。そういった理由もあり、未だにどういうゲームなのかわからないという声や何をするゲームなのかという声は国内外で聞こえてくる。また美しいビジュアルやスケールの大きさだけが先行し、ゲーム内には実装されていない要素に期待を持っているユーザーも少なくない。ディレクターのSean Murray氏はこの問題に対して懸念を抱いているようで、発売に合わせて公式ホームページで開発の歴史を振り替えながら、改めてゲーム内容を紹介している

『No Man’s Sky』は自動生成された惑星や生物が存在する、宇宙を探索するゲームだ。NPCと交易ができ、ロボやテクノロジーと地上と宇宙で戦闘が可能。宇宙規模のサンドボックスでクラフティングやサバイバルができる。美しい音楽もプロシージャル方式を採用しており、場面によって自動的に流れるBGMが決定されるというシステムが用意されるなど、Sci-Fiの本の世界が体験できる。

 

そしてMurray氏は「こういった説明をすると、『No Man’s Sky』はあなたが想像したゲームではないかもしれない」と加える。というのも、『No Man’s Sky』はアクションからシューティング、サバイバルやシミュレーション、そしてほかのプレイヤーと遊ぶことまで可能であり、さまざまな要素を含んでいるが、当然それらのジャンルの要素すべてを包括することは不可能だ。あくまでシミュレーション要素も交易の一環であり、本格派シミュレーションゲームのような遊び方ができるわけではない。こういった事情を考慮し、実装されていない要素に誤った期待を抱くプレイヤーが「想像したゲームではない」と嘆く可能性を先んじて指摘したのだろう。

Murray氏は、期待されがちなPvPのマルチプレイや、街や文明作り、貨物輸送といった要素は“現時点”では実装されていないと言い切り、そういったゲームではないと語る。しかし、これらの要素の一部はのちのアップデートで追加されること示唆している。とにかく『No Man’s Sky』はマルチプレイヤー要素を公開してからというもの、「MMOなのか」という質問が生まれており、そのたびにMurray氏はそういった要素を否定している。スケールの大きさから「なんでもできる」と思われがちであるが、あくまで宇宙を探索しお金を稼ぐという流れが根本にあるようで、ゲーム内容の説明に懸命になるのはプロモーションでありながら“間違った方向への期待”の抑制としての活動であるとも見受けられる。そして最後にMurray氏は、『No Man’s Sky』はニッチで奇妙であるがゆえに、万人向けの作品ではないことを強調しながら、ユーザーにとってきっと今までに経験したことのないタイトルとなるになるであろうと、公式ホームページの声明を締めている。

ゲームはビッグタイトルの扱いを受けており、ソニーのバックアップを受けているが、Hello Gamesはあくまでインディースタジオなので、プロモーションも自分たちで精力的に行なっている。Twitchの放送やTwitterを中心としたSNSでの宣伝、そしてredditNeoGAFではユーザーからの多くのゲーム内容の確認や詳細を問う質問に回答している。こうした地道な宣伝も、Hello Gamesが好かれるひとつの要因だろう。特にMurray氏は人気で、開発が進むにつれてヒゲを伸ばしていくことから人相が変わっていくといじられたり、マスターアップを祝った画像のディスクの部分をコラージュされたりとなかなかの愛されキャラとなりつつある。

PC版が12日、PlayStation 4の日本語版が25日と、発売日の関係上日本人ユーザーが『No Man’s Sky』を遊ぶためにはまだもう少し時間が必要だ。これからどんどん増えてくるであろう情報を参考に遊び方を考えたり、公開されているサウンドトラックを聞きながら飛び立つ宇宙を思い馳せたりする、さまざまな楽しみ方でじれる気持ちを抑えていってほしい。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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