混沌へと陥る”VR空間”での戦いを描く。FPS『BLACKROOM』が正式発表、開発は「Doom」デザイナーのジョン・ロメロが指揮


Night Work Games」は、新作FPS『BLACKROOM』を正式発表した。本作はFPS黎明期の名作『Doom』をデザインしたジョン・ロメロが開発をリードするタイトルだ。発表にあわせてKickstarterでのクラウドファンディングキャンペーンもスタートしており、初期目標額として開発資金70万ドルの獲得を目指している。

『BLACKROOM』では、現在こちらの世界でも注目を浴びている「ヴァーチャル・リアリティ技術」がさらに進化した世界が描かれている。世界最大のテクノロジー企業の1つ「HOXAR社」は、巨大な黒色の部屋(BLACKROOM)のなかでVR空間を体験できる技術の開発に成功。このVR空間ではホログラフィックが実現化されており、現実とまったく区別ができない世界が展開されているのだ。『BLACK ROOM』の世界では、すでに軍事組織と警察が戦争やテロ対策のスペシャリストを訓練するためにこの技術を使用、さらに家族が楽しめるシミュレーション体験を開発しようと各企業が動き始めている。

しかし「HOXAR社」が開発している最新技術「Predictive Memory(予測記憶)」の実験中、現実世界とバーチャル空間が融合する事故が発生してしまう。プレイヤーは「HOXAR社」のエンジニアであるサンティアゴ・ソノラ(Santiago Sonora)となり、銃と同社のガジェット「Boxel」を装備して、「BLACKROOM」内部へと調査に向かわなければならない。

Kicksatrterのキャンペーン映像。ゲームプレイシーンは一切登場しない

開発にはかつてid Softwareに在籍し初期『Doom』シリーズのデザインを担当してきたジョン・ロメロ、またアート担当のアドリアン・カーマックが参加。同作の発表前からプロジェクトの存在をちらつかせてきたロメロが以前より語ってきたように、『BLACKROOM』はストレイフやロケットジャンプなどを盛り込んだオールドクラシックなFPSになるという。レベルデザインはすべてロメロが担当する予定で、リフトやスイッチ、シークレットや隠し通路など『Doom』時代によくあった要素が盛り込まれるようだ。

真新しいゲームの特徴としては、主人公が所有する「Boxel」がピックアップされている。この「Boxel」は「HOXAR社」のエンジニアのみが所有できるデバイスで、周囲の環境や自身の武器、敵などになんらかの影響を与えることができるという。コンセプトアートでは、TNT爆薬を収納したオーク材のタルを配置している様子が確認できるが、一体どういったメカニックになるのか詳細は明らかにされていない。

「Boxel」を通じて爆薬タルを設置する様子
「Boxel」を通じて爆薬タルを設置する様子
ホログラフィックの武器が実現化するシーンだろうか
ホログラフィックの武器が実現化するシーンだろうか

かつて『Doom』を生みだした天才デザイナーの最新作ということで期待が高まる一方、現時点でインゲームフッテージが一切登場しておらず、コンセプトの提示のみに留まっている点は注意すべきだろう。『BLACKROOM』は10時間以上のシングルプレイヤーキャンペーンとマルチプレイヤーモードを搭載した作品となることが明らかにされているが、このボリュームをコンセプト段階からたった70万ドルで完成させられるというのは信じ難い。発売は2018年冬を予定しており、70万ドル程度しか集まらない場合は、まず間違いなく計画の変更か追加の融資が必要となるだろう。また現時点で、ゲーム制作全体のディレクションを担当する人物が見当たらないのも不安要素の1つだ。

一方でギタリストのジョージ・リンチが提供するメタル調の楽曲と、ロメロが手掛けるオールドスクールなFPSの組み合わせはぜひとも味わってみたい。期待と不安を半分ずつ抱えつつ。気になる人はKickstarterでのキャンペーンをチェックしてみよう。