初期の「ローグライク」作品の1つ『NetHack』へと12年振りのアップデートが配信、派生や非公式拡張ではなく元祖開発チームが制作を担当
公式開発チーム「DevTeam」は、ローグライク『NetHack』のアップデートを実施した。『NetHack』には様々な派生作品や非公式拡張版が存在するが、DevTeamが最後にリリースしたバージョンは2003年12月の「3.4.3」であり、それから約12年振りの最新アップデートとなる。現在の最新バージョンは「3.6.0」だ。
「ローグライク」とは1980年ごろにリリースされたダンジョン探索RPG『ローグ』の派生作品(Variant)、および『ローグ』のゲーム要素を持った作品を指す言葉である。当時リリースされた『ローグ』は、「アスキーアート」を使用したミニマルなビジュアルでありながらも、一度死亡すればデータがロストしてしまう緊張感や、食料と空腹度の概念、マップが毎回ランダムとなる自動生成のシステムなどで、高い中毒性を持つ作品として人気を集めた。現代の作品で言えば、『トルネコの大冒険』や『風来のシレン』、『不思議なダンジョン』シリーズなどは、この『ローグ』にルーツを持つ作品の1つである。
1980年代には元祖『ローグ』から大量の派生作品が登場し、その内の1つとしてリリースされたのが『Hack』である。『Hack』では迷宮の状態を保存するシステムやプレイキャラクターの能力に影響を与える職業選択といった、後のローグライクに続く重要な要素を実装していた。さらにこの『Hack』から派生し、プレイキャラクターの属性の概念など様々な要素を拡張したのが『NetHack』である。
今回の「3.6.0」アップデートでは、新たなゲーム機能などはほとんど追加されておらず、各種要素の修正に終始している。ただしDevTeamは、これは”多数の新機能を追加するため”の土台作りだと説明しており、公式開発チームによる『NetHack』のさらなる拡張が今後期待できそうだ。また『NetHack』のファンであり、2015年3月に死去した小説家テリー・プラチェット氏に敬意を示し、氏の著書である「Discworld」シリーズから多くの引用を『NetHack』へ取り入れたとしている。(なお『NetHack』に登場する職業「観光客(Tourist)」は、プラチェット氏の「Discworld」シリーズに影響を受けている)
『NetHack』の「3.6.0」は、公式サイトよりダウンロード可能である。当時プレイしていた古参プレイヤーも、また現代の「ローグライク」作品にしか触れてこなかったプレイヤーも、あらためて迷宮に潜ってみてはいかがだろうか。