Microsoft、DDoS攻撃に関しソニーや任天堂と協力 たがいにフィードバックなどを共有へ


2014年ごろから、ビデオゲーム関連企業などに対し、無差別に近いDDoSアタックが展開されてきた。昨年末、PlayStation NetworkやXbox LIVEをダウンさせたと自称した「Lizard Squad」は、昨年末に「Anonymous(アノニマス)」と泥沼の戦争を繰り広げたのち、今年に入って「Lizard Stresser」と呼ばれる有料のDDoS攻撃サービスを開始させるなど、反省の色をまったく見せていない。

とはいえ、攻撃を受けた企業は、手をこまねいているわけではないようだ。ハードウェアやビジネス関係の垣根を越え、業界全体で対策を練る動きが始まりつつある。Microsoft StudiosのヘッドPhil Spencer氏は、Microsoftがソニーや任天堂などと共に、DDoS攻撃に関して話し合いをしてきたことを明らかにした。海外メディアGame Informerが取材している。

 


ゲームハードウェア3社、協力体制へ

Phil Spencer氏によれば、ソニーや任天堂などと共にDDoS攻撃に関する話し合いが進められており、たがいに攻撃への取り組みや学んだことを共有しているという。Spencer氏は「PSNがダウンした時はとてもいい気分なんかじゃなかった。私の助けになるわけじゃない」とコメントし、DDoS攻撃が世の中すべてのゲーマーを恐怖と不信感に陥れる行為だと説明した。「話し合いは発生している、とてもいい気分だよ」。

See also: 有名ゲーム企業へのDDoS攻撃続く、「Lizard Squad」が犯行声明2014年8月、PSNなど大手ゲームサーバーに障害が発生し始めた。Xbox LIVEなどハードウェア企業のオンラインサービス以外にも、『Diablo 3』や『League of Legends』のサーバーなど、無差別に攻撃が続けられている。いまも実行犯の正体は不明だが、「Lizard Squad」が事件当初から犯人を名乗っている。彼らの主張は"ゲーム企業はユーザーのためのセキュリティ対策にお金を使っておらず、私腹を肥やしている"という幼稚なものだ。

See also: インタビュー セガ 木村裕也 [中編] 携帯ゲーム機向けMO「我々がやるべき」と思った実際にDDoS攻撃を受けた企業は、どのような対策をしているのだろうか。昨年、我々がセガの木村裕也氏へインタビューした時には、根本的な解決策はないと氏は語った。「正直なところ、根本的な解決方法はないと考えているんです。DDoS攻撃というもの自体の内容というか、単純な大量アクセス攻撃でしかないので、これに対して特効薬というようなシステムは、現状世界のどこにもないというのが実情だと思っています。いまもっとも手軽なサイバーテロ攻撃といわれているゆえんですね。DDoSにもいろいろな種類があり、一部の種類に対しては対処できる対応がありますので、そういうのはやってはいますけども。ただ、根本的な解決方法はないなあ、というふうに考えています」。木村氏は、現状ではDDoS攻撃へ対応するには、常にそれに足りる体制を用意しておくしかないと語っている。

ターゲットに成り得る企業は、常に対策を話し合い、いつくるかわからぬ気まぐれな攻撃に対策し続けるしかないのだろう。2011年にソニーの個人情報を不正に入手したLulzSecのリーダーやメンバーは、同年にもFBIによって身柄を拘束されている。気軽かつ無差別に行えるDDoS攻撃と個人情報の不正入手は同質の問題ではないが、今回の一連の事件の犯人にも罰が与えられることを願いたい。