Xbox、Xbox 360、そしてXbox One。Microsoftの家庭用ゲーム機は、ソニーのPlayStationシリーズとは異なり、完全に不規則なナンバリングで進化してきた。2代目のXbox 360がリリースされた時、どうしてXbox 2ではなかったのか。その背景には、翌年に発売された競合相手PlayStation 3の存在がある。実のところXbox 360には、当初“Xbox 3”を含めた様々な名称の候補が挙がっていたことを、当時の最高責任者が明かしている。
業界メディアIGNのインタビューに答えたのは、当時Microsoftのエンターテイメント・デバイス部門を率いていた元役員、Robert J. Bach氏。初代Xboxや2代目Xbox 360、Windows Gamesなどを統括していた人物だ。「もちろん、Xbox 3は実際に候補にあった。なぜなら、追いつかなくちゃいけなかったからだ。PlayStation 3に対抗してXbox 2にはしたくないだろう。実際に議論したよ。一世代遅れている感じは嫌だから、スキップすればいいかなって」。競合プラットフォームであるPlayStation 3と肩を並べた時に、ユーザーに対して見劣りしない存在感を示すことが狙いだったと、Bach氏は語る。余談になるが、Microsoftは昨年、Windows 8からWindows 10へ世代移行した際にも、ナンバリングを一つスキップしている。
第7世代の据置型ゲーム機の1つ、Xbox 360が世に解き放たれたのは、2005年11月。北米で先行発売された。それに先立ち、およそ半年前の5月に開催された「E3 2015」にて、すでにソニーはPlayStation 3を2006年にリリースすることを発表していた。これを受けて、Microsoftは競合プラットフォームの存在を意識せざるを得なかったというわけだ。また、Bach氏によると、当時のMicrosoftには、XboxシリーズでPlayStation PortableやニンテンドーDSに対抗する携帯ゲーム機を開発する計画もあったとのこと。事実、そういった噂は後を絶たなかった。しかし、主に十分な開発リソースを割り当てられなかったことを理由に、プロジェクトは実現しなかったという。一方で、携帯ゲーム市場がスマートフォンやタブレットに支配された今となっては、それが結果的に正しい決断であったと、同氏は付け加えている。