和風アクションRPG『Meifumado』開発元、拠点国が“経済制裁中”でクラファン資金を一切受け取れず。未完状態でリリースし厳しい評価受ける

Old Bit Studioは7月18日、アクションRPG『Meifumado』を配信した。対応プラットフォームはPC(Steam)。開発元が、拠点国が“経済制裁中”でクラファン資金を受け取れないと明かしている。

デベロッパーのOld Bit Studioは7月18日、アクションRPG『Meifumado』を配信した。対応プラットフォームはPC(Steam)。

本作は発表当時から大きな注目を集め、今回ついにリリースされた。しかし、完成度の低さなどが指摘され、本稿執筆時点でSteamのユーザーレビューステータスは「やや不評」となっている。これに関し開発者は、ベラルーシ在住であることを理由に、クラウドファンディングで集めた資金を受け取れていない実情を語っている。

Meifumado』は、日本をモチーフにした終末世界を舞台にするアクションRPGだ。大きな戦争によって荒廃した世界では、残された人類は少ない資源をめぐり争いを続けている。プレイヤーは、武士のようなキャラクターの主人公となってステージを進み、現れる敵に立ち向かう。

Steamストアページに掲載されたゲーム概要は非常に簡潔であるが、本作は2022年にKickstarterにてクラウドファンディングが実施され、そちらではさらなる詳細が記されている。たとえば、2つある派閥のいずれかに所属する要素や、多彩な武器をベースにした歯ごたえあるバトルシステム、メトロイドヴァニアスタイルの探索要素や豊富なクエスト、入手したあらゆるアイテムに価値をもたせるクラフトシステムなどが挙げられている。

そのKickstarterキャンペーンでは、約1400人から約4万8000ドル(約750万円・現在のレート)を集める成功を収め、いくつかのストレッチゴールも達成。そして、当時の計画よりも4か月早くPC(Steam)向けにリリースされた。


本作に対する評価について、本稿執筆時点でSteamユーザーレビューには約90件が投じられ、その内好評は37%に留まる「やや不評」ステータスとなっている。不評レビューでは、本作はノンリニアなゲームプレイであると謳われているにもかかわらず、実際はほぼリニアに進行し、2時間程度でクリアできるボリュームの少なさが指摘。また、操作性が悪いうえにキーバインドが機能しないことや、バグが多いこと、あるいは無用なアイテムの存在や、トレイラーでみられた処刑アクションの未実装などに言及するレビューもある。戦闘システムも含め、作り込み不足・最適化不足との指摘が多い。

本作はリリース前には、人気作である『Blasphemous(ブラスフェマス)』を彷彿とさせるゲームプレイやドット絵ビジュアルであるとして注目を集めており、そのビジュアル面については概ね好評。しかし、上述したクオリティ面の問題や、Kickstarterキャンペーンやトレイラーで紹介された内容の未実装が目立つ部分もあって、多くの不評が投じられている状況だ。

また、本作はコンソール版のリリースが無期延期されており、対応言語も当初予定されていた日本語を含む多くが未実装。Kickstarterにおいては、それらに対する不満のコメントもみられる。


こうした厳しい評価を受けていることに関して開発者は、金銭面での事情を明かしている。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、各国がロシアに対する制裁措置を取っており、その抜け穴をふさぐことなどを目的に、ロシアを支持するベラルーシに対しても制裁が実施されている。開発元Old Bit Studioはベラルーシに所在しており、この制裁によってKickstarterで集めた資金を手にできない状況にあるとのこと。

同スタジオは、Kickstarter運営元によるベラルーシに対する制限を回避すべく、アメリカの協力企業を通じてクラウドファンディングを実施。Kickstarterからその企業への送金はおこなわれたものの、そこから同スタジオへの送金について銀行に拒否されているそうだ。実際、現在日本の銀行においても、経済制裁等を理由にベラルーシ国内の銀行への送金取引を停止しているとの案内が出されている。

結果として同スタジオは、見込んでいた開発資金を一切得られず、手持ちの少ない資金をやり繰りして本作の開発を続けてきたという。資金不足を理由に開発中にカットした要素もあったとのこと。先述した日本語などへの対応に関しても、予算の都合により延期せざるを得なかったと説明。本作の売り上げ次第では、将来的に対応できるだろうとしている。


ベラルーシに対する各国の経済制裁は段階的に強化されてきたこともあり、Kickstarterからの開発資金を受け取れないという事態は、本作の開発元Old Bit Studioにとって想定していなかったことだったのかもしれない。Steamの掲示板などでは、何とかして資金を確保して本作を完成させてほしいと、同スタジオを応援する声も聞かれる。ただ、十分な完成度には満たず、また予告されていたゲーム内容と異なる部分もある状態でリリースされたことで、ユーザーレビューにおいては厳しい評価が投じられる結果となってしまったようだ。

Meifumado』は、PC(Steam)向けに配信中。本作の今後について開発元は、アップデートを重ねて随時コンテンツを追加していく方針を示している。ただ、資金的な問題もあり、そうした計画は本作の売れ行き次第になるとのことである。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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