狂気のホラーアドベンチャーゲーム『Devastated Dream』が正式始動、フィリピン妖怪と妊婦の悪夢が混ざり合う

開発者Matt Gilgenbach氏は、新作ホラーアドベンチャーゲーム『Devastated Dream』のKickstarterキャンペーンをスタートした。

開発者Matt Gilgenbach氏は、新作ホラーアドベンチャーゲーム『Devastated Dream』のKickstarterキャンペーンをスタートした。目標額は11万5896ドル、期日は8月17日までだ。現在は1万2000ドルが集まっており、なかなか順調なスタートを見せている。

妊婦はなぜ悪夢を見るのか?

Gilgenbach氏は2013年に『Retro/Grade』をリリースし、インディーデベロッパーとしてのキャリアをスタートさせた人物だ。しかしその『Retro/Grade』が商業的に大きく失敗し、Gilgenbach氏は以前からわずらっていた鬱病や強迫性障害を悪化させることになる。氏は逆にそういった精神的な病や悪夢をホラーゲーム『Neverending Nightmares』にて描き上げ、2014年9月にリリースして大きな成功を収めた。そして次なる最新作として今年5月に発表されたのが、今回の『Devastated Dreams』である。

参考記事: 『Neverending Nightmares』作者の鬱病・強迫障害が生みだしたホラーゲーム、開発者インタビュー

『Devastated Dreams』は、『Neverending Nightmares』のひな形を採用した横スクロール型のホラーアドベンチャーゲームだ。主人公である「エンジェル(Angel)」は、フィリピンの東ビサヤ諸島に位置する田舎に住んでいる若き女性である。ゲーム中、彼女はフィリピンで古くから伝えられているさまざまな妖怪たちに襲われる。プレイヤーは実在する複数のロケーションを探索してゆき、ストーリーの謎を解き明かさなければならない。

本作のストーリーは、フィリピンにて古くから伝えられている吸血鬼伝説「アスワング(Aswang)」をもとに形作られている。ゲーム中には、人間の上半身だけのような姿で飛び妊婦の胎児を吸い出す「マナナンガル」や、両親と思った人間を食らい殺してしまう悪魔の赤ん坊「チヤナック」、長い舌で赤ん坊を食べてしまう「ティクティク」が登場する。しかしそういった妖怪たちが登場する一方で、本作は主人公エンジェル自身の謎も追求していくという。彼女の家族はどこに行ったのか、どうしてフィリピンの妖怪たちに襲われるのか、そもそも彼女は本当に妊娠しているのか。本作は『サイレント・ヒル』シリーズにも影響を受けているとのことで、単なる妖怪と妊婦の逃走劇ではなく、主人公エンジェルの心の闇に迫る作品ともなるようである。

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マナナンガルとチヤナック
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ティクティク

なお『Devastated Dreams』は『Neverending Nightmares』のひな形を採用しているものの、それと比較するとより伝統的なホラーゲームの作りが目指されており、物語は明確に描かれることになるという。そのほか暗所を照らすためのフラッシュライトがメインのアイテムとして登場し、木の根に足を引っ掛けるといった細かな演出が数多く追加されている。現在はPC/Mac/Linux向けにデモがリリースされており、これらの要素を確認することが可能だ。

現在『Devastated Dreams』のリリース時期やプラットフォームは明示されていないが、Kickstarterキャンペーンでは、デジタルダウンロード版などふくむ各リワードのリリース時期が2016年9月に設定されている。なおデジタルダウンロード版は限定3000人分の10ドル支援枠か、15ドル以上を支払うことで入手できる。

参考記事: 鬱病を描いた「Neverending Nightmare」開発者の最新作『Devastated Dreams』が正式発表

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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