デスマーチに下請け、完全版や大赤字のエンジン開発も。業界をリアルに描くゲーム会社経営SLG『Mad Games Tycoon』がリリース

Eggcode Gamesは、Steamにて『Mad Games Tycoon』の正式版をリリースした。定価は1480円で、現在は10%オフの1332円にて販売されている。同作は2015年1月から早期アクセスを開始しており、1年半の時を経て2016年9月13日に晴れて正式版となった。

Eggcode Gamesは、Steamにて『Mad Games Tycoon』の正式版をリリースした。定価は1480円で、現在は10%オフの1332円にて販売されている。同作は2015年1月から早期アクセスを開始しており、1年半の時を経て2016年9月13日に晴れて正式版となった。正式版への移行にともない言語のサポートなどが充実し、全体的なバランス調整もなされている。

『Mad Games Tycoon』はゲーム会社を経営するシミュレーションゲームだ。これまでにもSteamでは『Game Dev Tycoon』など同ジャンルの作品がリリースされてきたが、本作は「リアルさへの追及」「部屋の間取りや配置する家具などが決められる『シム』シリーズ的な奥深さ」「日本語サポート」などが魅力として挙げられる。

ゲームを開始してもいきなりゲームを制作できるというわけではなく、しばらくグラフィックやサウンドといったゲーム開発の一部の下請けなどをこなしながら資金を貯めることになる。スタッフを雇いゲーム開発を始めるにしても、スケールの大きなゲーム開発は難しく、小さなゲームを長時間かけながら、雀の涙のような利益を追い求めることになる。場合によっては「グラフィックは素晴らしいが他の要素はてんでだめ」といったある部分に特化させたゲームを開発することも有効で、さまざまなアイディアを使って業界の認知の向上とユーザー獲得を目指していく。リリースされたゲームは売上といった数字のみならず、海外メディアからレビュー(時には大バッシング)やファンレターなどさまざまな形でフィードバックが得られるのが嬉しい。

ほかにも『Mad Games Tycoon』ではさまざまな部分で業界のリアリティを追及している。マスターアップ前にはデスマーチが続きスタッフが疲弊していったり、新たなゲームを開発する予算が確保できないので完全版をリリースしお茶を濁したり、思い切って自社エンジンを開発してみたものの、すでに業界ではより安価かつ高性能なエンジンが普及し大赤字を招くなど、“業界あるある”が事欠かない。プレイするたびに流行りのジャンルやハードなどは変化していくので「鉄板の法則」などもない。遊び方も幅広く、一定のジャンルに強い中規模な会社としての道を選ぶのか、大当たりはなくともハズレはない版権物を専門に扱っていくのか、ひたすら続編モノをリリースする会社として名を馳せるのか、すべてはプレイヤー次第となる。

またテキストの大部分が、日本語化されているのも本作の魅力だろう。まだ一部英語の文章もあるようだが、チュートリアルなど基本的な部分はしっかり日本語化されている。この手の情報量の多いシミュレーションゲームが母国語でプレイできるのはなんともありがたい。

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また開発環境をレイアウトするのも本作の楽しみだ。開発ルームや経理ルームなど部屋を部署ごとに区切って設立することができ、開発のデスクやイスといった機材によって作業の効率は上昇する。開発者の人数に対してトイレが少ないと渋滞が生まれ苦情が相次いだり、娯楽部屋がないと入社してくれないスタッフがいたりと、ただレイアウトをデザインするだけでなく、開発になんらかの影響が生まれるといった戦略性もある。また仕事をする社員の様子を見ることができ、アイディアに行き詰まり狼狽するプランナーの様子や、マスターアップ前に疲れて娯楽部屋から出ないプログラマーなど開発風景をただ眺めているだけでもなかなか楽しい。

早期アクセス版は脱したものの、今後も開発は続けられていくとのことで、さらなるアップデートも期待できそうだ。現時点でもゲーム開発系シミュレーションゲームの最高峰と言える出来で、Steamレビューでも1650件中92パーセントから好評を得ている状況、気になった方はぜひチェックしてみて欲しい。

 

【UPDATE 2016/09/14 14:54】 ゲーム内容について一部文章を加筆しました。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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